ハッピーハロウィン
ハロウィンの話を書こうと思い立ったのがハロウィン当日だったという…。
アーキス×クライスでクリア後のお話です。
エロは薄味で珍しくあんまりクライスが喘いでませんが、軽く風呂場で腸内洗浄してます。
かつ当て馬的なアーキス×リィナ要素含みますのでご注意を。
風が少し肌寒く感じる頃。日の傾いたリーヴェ王宮の城下街ではカボチャの装飾がいたる所に見受けられた。歩く人々も、いつもより黒のマントを靡かせたり魔法使いのような帽子を被っている者が心なしか多く感じる。明日はハロウィンだからか、と買い出しの荷物片手に思ったところで、隣の相棒が急に背中を丸めた。
「うっ、くしっ!」
「ほら、言っただろう。何か羽織るものを持って出た方がいいと。」
ズルズルとみっともなく鼻をすするアーキスに、ほら、と塵紙を渡してやる。
「おう、サンキュー…」
遠慮なくそれを受け取って鼻をかんだアーキスの鼻が、まるでお伽話に出てくる魔女のように赤くなっているのを見て思わず吹き出してしまった。
「何だよー、この俺のイケてる顔が崩れたからって笑いやがって…。」
「いや…呆れてるだけだ。」
「嘘だ、一瞬マジで笑っただろ、…っと。」
怒りながらもまたズルズルと鼻から水が垂れてきたのを見て、クライスは笑いを堪えつつ巻いていたストールをアーキスの肩にかけてやった。
ふわりとした暖かさと共にクライスの匂いがして、アーキスが一瞬目を見張る。
「お、おう。悪ぃな…」
「それに鼻水を垂らされる前に、早く帰るぞ。」
そう言って足を速めたクライスに、惚けていたアーキスが不貞腐れながらもついて行く。
人混みを外れて兵舎が近くなると、二人はまた足並みを揃えていた。
「んー、そうだ。リィナが来たらまた街を案内してやった方がいいかな?」
「そうだな。市街を回って何か買ってやろう。おじさんにも何か…。」
「あんな耄碌ジジイには何もいらねーよ!」
「そうは言っても、せっかくリィナを送ってきてくれるんだ。礼を尽くすのが道理だろう。」
「ハァ…相変わらずお固いなぁ、クライスは。」
たわいもなく話すのは明日のプランだ。
今日からハロウィンにかけて久しぶりに二人合わせての非番となり、当初は例年通りラゼリアへ帰郷しようと思っていた。しかしラゼリアに残るリィナが、今年はせっかくだからアーキスとクライスが務めるリーヴェ王国の方へ遊びに行きたいとせがんだ為、養父であるアーキスの祖父に伴われ、明日の朝自分たちの住んでいる兵舎を訪れることになっていた。
「今年は田舎で過ごす地味なハロウィンじゃなくて、都会の華やかなハロウィンがいいってか。あいつも色気付きやがって。」
「そうだな。十六にもなればな…。」
「何だよ。早く式を挙げろってか?クライスお・に・い・様。」
「よしてくれ。お前みたいな軽口の過ぎる義弟、目眩がする。」
ハン、とアーキスがそっぽを向く。
「俺もリィナをお前の代わりにする事は厳しいんだけどな…。」
クライスに聞こえるように言ったつもりだったが、返答はない。見事にスルーされたと知り、アーキスは舌打ちをした。
兵舎に戻り、夕食の準備に取り掛かる。普段は兵舎内の食堂で食べるか、今日のような休日は外食に頼るので基本的に自炊はしない。しかしせっかく客人が来るのだから、明日の為に自分達の食事は安く上げようと、適当な食材ともてなし用の飲料や菓子を買って来たのだ。
(戸棚に鍋があったな。あとは、まな板…)
久しぶりの調理に腕捲りをして器具や野菜を洗いにかかるクライスの横で、アーキスは早速買ってきたばかりのつまみのピーナッツを齧っている。
「…何してる」
「いや、小腹が空いたからちょっと味見にあけてみた。」
「手は洗ったのか?」
無言で袋に手を入れてボリボリとピーナッツを齧るアーキスを睨む視線が痛い。
「……俺先に風呂入って来ようかな。身体冷えたし。」
そそくさと退散するアーキスの背後で、盛大なため息が聞こえた。
しばらくしてアーキスが風呂から戻ると、台所から香ばしい香りが漂っていた。
「おお!うまそー!いただき…あ痛ッ!痛い!」
「ちゃんと洗ってきただろうな?」
性懲りも無くチキンの摘み食いを決め込もうとするアーキスの手を捻り上げたクライスの頭にツノが見える。
「えーそりゃもう!全身綺麗サッパリだから!」
「もう鼻水垂らしてないだろうな?」
「風呂入ってあったまったら止まったし!バイキンとかないから大丈…ててて!離してくださいお願いします!」
「お前はチキンを離せ。」
ちぇーっ、と子どものように拗ねるアーキスを追い払い、今しがた完成したパエリアを皿に盛っていく。サフランで程よく色付いたご飯と野菜の鮮やかな色に、脇の葡萄酒が映える。
「母親みたいな料理スキル持ちだなぁ、クライス。」
「これくらい焦がさなければ誰にでも出来る。」
「いや、口煩いのとかも…いてて!」
「お前も無駄口叩いてる暇があったら少しは手伝え!」
アーキスの尻を叩きながら片付けは全部お前な、と告げると、へーへーと気の抜けた返事が返ってきた。
「あー、美味かった。ご馳走様?。」
さて片付けるかとアーキスが自分の平らげた後の皿を流しに運ぶと、後ろからクライスが残りの食器を手に現れた。それらを流しに置くと、袖をまくり始める。
「いいって、作ってくれたんだし俺片付けるよ。」
「……二人でやれば早いだろう?」
食器を割られても困るしな、と言いつつ隣に立つと、ぽかんとするアーキスを尻目にテキパキと汚れを洗い流していく。
「全く、クライスはいい嫁さんになるぜ…」
「また何をバカ言ってるんだ。」
口より手を動かせと肘で小突きながらも、結局ほとんどをクライスが洗い終わってしまった。
「さて、と…。」
片付けが終わりクライスが台所を出ようとすると、なあ、とアーキスが腕を引いた。振り返ればにんまりとした笑顔が、酒の入った息がかかるほど間近にあった。
「用事終わったし、いいよな?」
「おい、俺はまだ風呂に入ってないんだぞ…」
「いいじゃん、まあ」
アーキスはそう言うと腕をまくって露わになっていた手首を引き口を寄せてくる。唇が掠めて、クライスは慌てて顔を横に向けた。
「待て、……俺は、お前と違って準備があるから…。」
「え?…何だ、ここで最後までやる気かよ?」
クライスがハッとしてアーキスを見ると、さっきよりもにやついた顔が自らを見つめていた。
「キスだけのつもりだったんだけどな。まぁ、お固いクライスお兄様も久しぶりだと盛るよなぁ。」
「ッ…!!」
分かりやすく煽られたことで頬を赤くしたクライスは、それを隠すようにアーキスの手を振りほどくと踵を返した。
「…風呂に入ってくる!」
怒ったような声と共に、部屋の扉が大きな音を立てて閉まった。
(逃げられたか…)
一人残ったアーキスは、はぁ、と一息つきつつ、先ほどのクライスの顔を思い出してほくそ笑んだ。もう何年も共に居るというのに、ああいう初々しさの抜けない反応が好きで仕方なかった。
そこらの女の尻を追いかけるより楽しいのだから、全く罪作りな奴だと独りごちて、クライスが部屋から手ぶらで出て行ったのを思い出す。
「…そうだ。」
また悪事を思い付いたアーキスは、棚の上に折り目正しく置いてあるバスタオルを上機嫌で取り出すと、クライスの後を追った。
一方、逃げるように浴室へ入ったクライスは、まだ冷たい水のままのシャワーを足下に浴びながら冷静さを取り戻そうとしていた。しかしいざ裸になって洗い場で下を向けば、目に入るのは少し勃ち上がっている半身だった。
変に意識しないようにさっさと身体を洗うが、気付いてしまったその熱は簡単には引かず、むしろ存在を誇示するようになっていく。
(まずいな……こんな所で……)
いくら兵舎内の殆どの者が里帰りで居なくなっているとは言え、この共同の狭い浴室内でそんな状態のままでいることは憚られた。が、行為前の準備をしない訳にもいかない。
なるべく刺激を与えないように清めるため泡のついた手でやんわりと先を握り込んだが、全くの逆効果だった。つるつるした亀頭と括れを擦れば下腹に甘い痺れが走り、竿が膨らんでいくのが分かる。
(っ……ダメだ……。)
どくどくと心臓が早鐘を打つのに合わせて脈打つそれを握る手は、思考とは裏腹に、勝手に上下に動いていた。このままでは風呂を出る前に達してしまうかもしれない。
「、……ア……」
「おーい、クライス?、入るぞ?」
突然の声にビクリと身を竦めた次の瞬間、背後にある風呂場の扉が遠慮なくガラリと開け放たれた。
そこに現れたのは、真っ白なバスタオルを頭から被ったアーキスらしき物体だった。
「トリック・オア・トリート!」
「はっ…?」
バスタオルの中で手を上げ下げしながら、お化けにでも扮しているつもりらしい。
それで幸いにも、浴室で自慰をしていた姿を直接見られずに済んだのだが。
「へへっ、一日早いけどな。」
「…っ、アーキス、ふざけるのもいい加減にしろ!誰か来たら…、」
「大丈夫大丈夫、俺らの他には誰も残ってねえって。それより、イタズラしていいか?」
アーキスは被っていたバスタオルを湯船の上の棚に丸めて放ると、クライスへ近づく。
「こっ、子どもか、お前はッ……」
近づくにつれクライスが不自然に背を向けようとしているのに気付き、アーキスの目が光る。
「ん?何隠してんだ?お前と俺の仲だろ?」
「ッやめっ…!」
白い肩に手を伸ばし、背後から無理矢理に前を覗き込めば、泡だらけの両の手の中で綺麗に赤く染まった陰茎が天を仰いでいた。
「へえ…、やっぱり期待してたのか?それとも俺に隠れてオナってたのか?」
「あ、違、これ、…洗って…!」
顔を真っ赤にしてしどろもどろになっているクライスに、恐らく図星だったんだなと悟ったアーキスが、まあまあとクライスの湿った髪を撫でつける。
「洗うだけでこんな腫らしてちゃ辛いだろ?あとは俺が洗ってやるよ。」
「ひっ!ゃ、止め、じ、自分で洗うからっ…!」
「任せろって。へへ、抵抗するならイタズラするぜ??」
「あぅッ!!」
突然伸びてきた長い指に無防備だった乳首をつねられ、クライスの口から甲高い悲鳴が上がった。浴室であるせいかよく響くそれに気を良くしたアーキスが、指の中の突起を戯れにこね回した。
「ヒィッ、ゃ、止めッ!離…ッ!ンァァッ!!」
「おー、すげえ声。お前ほんと乳首弱いなー…。」
「やっ…声、響いて、…ッ!の…嫌ッ、ぁ、アッ!」
「ほれほれ、…と。お前の声聴いてたら俺も勃ってきた。もうここでヤっちまって良いよな?」
「ッ!!駄目、だっ!!…まだ…ッ」
「ん?まだ?」
「ま…、まだ………。準備、出来て、無い…っ……。」
「ああ、だったら俺が洗ってやるって。ケツ向けろよ。」
「?!」
唖然とするクライスの目の前で、アーキスは壁に掛かっていたシャワーを手に取るとくるくるとヘッド部分を回し、外していく。どうやら本気で実行する気らしい。
「ええっと、確かこれで湯を入れれば良いんだよな?」
「バカ!!もう出て行け!!!」
「何でだよ、洗ってやるって。」
「ッ……!お、お前にッ……!見せたく、無いっ…」
「俺は見たいから大丈夫だぜ?」
そう告げながらアーキスはクライスの尻たぶの間に巧みに指を滑り込ませて、穴の入り口を広げる。
今度は逃げないようにタイル張りの壁に自らの身体でクライスの上半身を押し付けながら、手にしたシャワーホースの先を広げた穴にあてがうとバルブを緩く捻った。
ノズルから溢れた温い湯が勝手に肛内に入って来るのを感じたクライスの身体が、びくりと跳ねる。
「ひぁぁ…!!嫌ッ、嫌だ…!!こっ、こんなの、普通は、見せないッ…!!?」
「じゃあこのまま突っ込んでも良いぜ?俺は洗ってなくても気にしないからな?」
ホースが抜かれて反射的に固く引き締まったアナルに、アーキスの熱いものが擦り付けられるのが分かる。
「へ、変態ッ…!!お前なんか…っ……。…お、俺の気も知らないで…この、大バカ野郎……!」
「おう、でもクライスのいやいやは、もっとして?ってことは、知ってるぜ、俺。」
「ッ……!!…ァ…や、ッ……!も、出る、出ッ……!!!」
耐え切れず、ビシャビシャと激しい音を立てて、床に置いてあった桶に目掛けて水流が迸った。
「…!…ッ!!……ぁ…!…、あッ……!」
いくら風呂に入る前に中身を出したとはいっても、不純物が混じっていない筈のないそれをアーキスの目の前でぶち撒けている事実に、クライスは顔を覆って震えた。
「ーーーヒッ、あ、嫌だ…!!…きたない……汚い、から、見ないでくれ…っ!…」
「ん、だからナカが綺麗になるまでやるんだろ?そんな思ってたより汚くないし、気にすんなよ。」
「き、気にしない、訳、あるかっ!バカ……!!ッ、…お、お前はっ、本当に、バカだッ…!」
「はいはい、バカで結構だぜ?じゃあまた入れてやるからな?」
「ぅあ、あっ、ぁあっ!!ーーーっやだ、ぁ」
有無を言わさずホースを尻の穴に挿し入れられると、再び温い湯が腹の中に溜まっていく。あっと言う間に重くなって張った下腹を、アーキスが愛おしげに撫でてくるのだから堪らない。
「すげえ、妊娠したみたいだぜ、クライス」
「はぅ……ぅうっ……!苦し……も、入らな……」
「ん。出していいぞ?」
「ッ!ゃ、あっ!抜くなッ!!出る、ゃだ、…アッ!」
苦しそうに張ったそこを軽く押されて、また温い湯が噴出した。
「ぅあッ!アーーーっ!!!………ーーーッッ!!」
床に向かって一直線に水流が落ち、聞きたくもないような音が浴室に反響する。腹の中がやっと楽になったかと思えばまた同じ事を繰り返され、クライスの叫び声は段々と弱々しいものになっていった。
「ん。もう透明になったみたいだぜ」
アーキスがそう告げた時には、クライスはひくひくと啜り泣くばかりだった。
「悪いな、いっつもこんな準備させちまって。」
「…っ……、ひっ……ひぐ……」
「でも……興奮した。」
手にしたホースを床に置いたアーキスが、クライスのすっかり冷たくなった背中にキスを落とす。
「綺麗になったぜ、ここ。」
「ヒッ……あ…」
何度も湯を吐き出したせいか少し開いた後肛をアーキスの指がなぞる。慎ましいそこをもっと潤そうと、置いてあったリンスを手に取ると尻の割れ目に垂らす。手に付いた残りはアーキス自身のものに塗り付けると、挿入する体制をとった。
「入れるぞ…」
「ッア、あ…!…」
ずちゅり、と水音が響くと共に、熱い砲身が肉の襞を押し広げながら柔らかい粘膜の中に滑り込んだ。また逃げようとする腰に手を回し、腰が密着するまで突き上げれば、浴室に言葉にならない悲鳴が響いた。
粘着質な水音に混じり、ズル、と鼻をすする音が響く。
「ハァ、ハァ……。うん…流石に、冷えたか…?」
ふと結合部を見やれば、白濁と滑潤に使用したリンスが混ざったものが泡になって溢れ出していた。抜かずに何回出したか覚えていないが、結構な量だ。赤い肉をチラつかせるそこを、無我夢中で突いていて気づかなかった。
尻を突き出す格好で壁のタイルに手を付いたクライスも、未だハァハァと荒く息を吐いていた。掴んで揺さぶっていた白い肌にはくっきりとアーキスの手形が付いている。すっかり冷えきった背中を撫でるとびくりと身体を震わせつつ、中が締まる。
「ァ、……」
「続きはベッドでやろうぜ…」
首筋にキスを落としながら、アーキスが囁いた。
「…、……!アーキスっ…も……明日はっ…リィナがっ……」
「何?リィナの分は残しておけってか?」
「ッ…!」
瞬間、振り向いたクライスの瞳が泣きそうに揺れるのをアーキスは見逃さなかった。
「……冗談だよ。」
流石に今のは少し言が過ぎたとアーキスは思いながらも、心地良くぬるつく粘膜の中から自身を引き出そうとはせず、もう少しそれを堪能していようと腰を沈めた。
「ぁ……アーキス……っ……」
「愛してるぜ、クライス」
唇を重ねるとクライスの中がぎゅっと引き締まった。身体の方がよっぽど正直なのにな。と、口にこそ出さなかったがアーキスはそれに応えるようにクライスの脚を抱え直すと、抽送を再開する。
腰骨と肌が当たる乾いた音に合わせて白濁がかき混ぜられる音が狭い壁に反響し、そこに荒い息遣いと嬌声が響く空間。こんな日常であって非日常を味わうのも悪くない、と、クライスの首筋に赤い痕を残しながらアーキスはそれに耽った。
20151110