始末をつける
久しぶりのリュナン×クライスです。
初夏に書き始めて放ったらかしてたので、季節感は無視して下さい。
内容とエロはいつものノリです。
城壁に囲まれた新緑がそよそよと風に揺られる季節。
穏やかな初夏の陽射しに反し、国境付近では依然として帝国兵との小競り合いが続いている。城下街にはカナンを初めとする他国の密偵が影を潜め、今やラゼリアはノルゼリアに続く侵略の標的となっているのに違い無かった。
太守を失った国は正に砂上の城だったが、これ以上の敵の侵攻を許す訳にはいかない。関所付近の見張りを強化しなければ、帝国兵は元より賊までもが砂漠を越えてくる。それらを討伐するために、ラゼリアは国を挙げて新しい兵力の強化に取り組んでいた。先のノルゼリアの悲劇によって、主力の騎士たちはほぼ壊滅したも同然だったからだ。
だが、まだ年若い新兵達を突然危険な戦地へ送る訳にいかない。そこで、故太守の信の篤かったオイゲン老将軍が彼らを率いて小規模な遠征を重ねながら、何とか実戦経験を積ませる日々を送っていた。
それでも、油断した者、力のない者は日に日に帝国兵によって淘汰されていくのが現状である。
「…オイゲン、今日の遠征には僕も連れて行って欲しい。長老らに了承は得ている。」
早朝、そう告げた若きラゼリア公子リュナンの言葉に、オイゲンは驚いていた。
「リュナン様、今日は市街を抜けた後、盗賊が巣食うと報告のあった林の警備にあたるだけですぞ。そのような容易い事、我らに任せていつものように城で剣の鍛錬に励まれれば良いのです。」
「でも、僕は新兵たちの様子が知りたいんだ。最近の実戦で誰がどんな働きをして、熟練してきているのか。近い将来、僕が率いる事になるだろうしね。」
それでしたら、とオイゲンは了承し、かくしてレイピアを携えたリュナンが新兵団の前に姿を見せた。
突然の公子の登場に、集まった兵たちはざわざわと落ち着きがない。
「静まれ!公子は今日の遠征に貴様ら新兵卒の力を見たいとたってのご希望で、ご同行される!もし交戦となれば、第一にお守りすること、そして武勲を上げるのだ!良いな!」
オイゲンの言葉に、新兵たちは目を輝かせ歓声を上げた。
「へぇ、リュナン公子様、俺たち新兵に目をかけてくれるなんてな。これはチャンスだな、クライス。賊の一人や二人、しょっ引いてやらないと」
「……アーキス、浮かれるな。オイゲン将軍の言う通り、リュナン様の安全が第一だろう…。」
青銅と赤銅の鎧を纏った二人――アーキスとクライスは、対称的な表情をしながらリュナンの後ろに付いた。
「よろしく頼むよ、二人とも」
その様子を穏やかに見ていたリュナンから声がかかるが、クライスは内心、嫌な予感がしていた。
市街を抜けたところで青々としていたはずの空が曇り、どよりと視界が悪くなる。先頭を行くオイゲンも渋い顔をしていた。
その時である。つん裂くような叫び声が辺りに木霊した。振り向いてみれば、暗さで後方のしんがり兵の姿が見えない。
「大丈夫か!布陣を崩すな!仲間と離れるんじゃない!」
オイゲンの通りの良い声が上がるが、同時に二人目の悲鳴も上がる。明らかにこの天候を逆手に取った賊による奇襲攻撃だった。
「アーキス、クライス、リュナン様のお側を死守せよ!儂は下がる!」
「はっ」
アーキスは剣を、クライスは槍を構えた。
近くに賊の仲間が潜んでいるとも限らない。周囲に目を凝らし、目を光らせる。
と、サワサワと傍の木陰が動く気配がする。確実に、いる。
「どうする…、こっちから仕掛けてやるか?!」
背面を合わせたアーキスがクライスに持ち掛ける。まだ手柄を上げる気でいるのだ。
「駄目だ、離れては…!」
「ふっ、お前がサポートしてくれりゃいい。」
言うと、アーキスは葉の揺れた茂みへと駆け出していた。
「っ!バカ、闇雲に…」
その時、それを見計らったかのようにアーキスの抜けた方に矢が飛んだ。賊が放ったのだ。
「うっ…!」
「リュナン様!!」
咄嗟に庇ったが、間に合わなかった。リュナンの右腕を矢がかすめ、赤い血が流れている。
「……!……ハァァァッ!!」
クライスは怒りと共に、渾身の力を込めて弓を放った賊へと手槍を投げ付けた。濁った断末魔が藪の中に響く中、レイピアを取り落としたリュナンの前に立ち、剣を真一文字に構えて防戦の姿勢をする。そこへアーキスが戻ってきた。獲物は取り逃がしたらしく、剣に血は付いていなかった。
遅い、と無言で睨みつけると、さすがに罰が悪そうに、すまないと頭を垂れた。
その後、賊を一掃して帰城した彼らを待ち受けていたのは、オイゲンによる怒号混じりの説教だった。重症者を二名も出した上、守るべきリュナンまで負傷させたことがオイゲンを激昂させた。
アーキスはしばらくの行軍と遠征の不可と、人の二倍の訓練を課された。
(この時のアーキスの不貞腐れた態度がオイゲンの怒りに油を注いだため、更にトイレ掃除も追加された。)
そしてクライスは、直々に始末をつけるとの名目で、リュナンの私室に通されていた。
治療を受けベッドに横たわる主君の右腕は肩から吊られ、指の先まで包帯が巻かれていた。
その前で片膝をついたクライスが頭を垂れる。
「私のせいで、お怪我を…。申し訳ありません。」
「いや、クライスが庇ってくれたからこの程度で済んだ。お前が居なければ腕に矢が貫通していたかもしれない。」
「……守りが不十分だったのです。その、傷の具合は…」
「うん、杖で痛みは消えたけど、一週間はまともに動かさず、安静にと言われたよ。利き手をやられたからね、不便だよ」
「……。この始末は、何なりと受けさせて頂きます。」
その言葉に、リュナンの瞳が細まる。
は、とクライスがそれに気づいた時には、ゲームは始まっていた。
「そうだな、じゃあ、……。」
一週間後、再びクライスはリュナンの私室を訪れていた。
訓練を終え、珍しく武装を解いた姿で現れた彼を、ベッドに横たわっているリュナンが手招きする。
「待っていたよ、クライス」
手が届く距離になると、リュナンはにこりと微笑して銀白色の髪を撫でた。ひくりとクライスが反応するのが分かる。
「今日で一週間か…。ちゃんと僕の言った通りにしているな?」
「……は。……はい、リュナン様……。」
クライスが幾分、辿々しく返事をする。
「そうか、じゃあ」
リュナンの指はするすると銀の毛先を弄びながら、額を掠め、やや赤みを帯びている頬を撫で下ろした。たったそれだけで、クライスは熱っぽく息を吐いた。
「今日もよろしく」
「っ……、はい……。」
その様子に気付いていながら、リュナンはにこにこと、さも当たり前のような態度でクライスを見つめていた。
クライスは横たわる主君の腰にかけてある薄毛布へと手を伸ばすと、それを捲る。
「、失礼します……」
そう断りを入れ、露わになったズボンの端に指をかけると、するすると引き下ろした。
当然その中からはリュナンが身につけている下着が姿を現し、その布に包まれている主君の男根へ指先が軽く触れる。
「早くしてよ。もう一週間経つのに、慣れないなぁ、お前は」
「は、はい…、すみま、せ…」
どくり、と心臓を跳ねさせながらも、慣れる筈がないその行為をするべく、クライスは指で下着の布をかき分けて目当てのモノを探った。震える指先にざらりと黒い陰毛が触れる。程なくして、温かいがまだ形を成していないリュナンのそれを引き出す事に成功すると、おずおずと口を寄せた。
「はむ……ん……、チュ……」
「やっと咥えたな。舌、休むなよ」
「ふぁ…、ンン……ッ、チュプ、ペロ……」
リュナンのムッとする雄の香りの中、根元から先端までをまず口に頬張り、舌で何度も往復するように舐めしゃぶっていると、皮に覆われたそれが段々と膨らみ、砲身に硬さが生まれてくる。つるりとした亀頭が張りを持ち始めたのを確認して、クライスはそこの括れを舌でチロチロと刺激し始めた。
「そうだ。うん……良いぞ、クライス…」
「ゥっン……お褒め、いたら、き…ほふ、えい、れす…」
「ハハ、しゃぶりながらお喋りか?くすぐったいぞ。」
いつの間にか頬を真っ赤にしてフェラチオをしているクライスの頭を、リュナンがくしゃくしゃと撫でる。ふと、クライスの下半身に視線をやると、そこはズボン越しにも質量を増して苦しそうに張り詰めているのが見て取れた。
「今日もガチガチになってる。僕のチンポ舐めて興奮してるんだ」
「っン……!ちが…ひ、…ッ、ぷぁ…!」
「もう喋るな、集中しろ」
「んぶぅッ!う゛……!」
頭を局部に押し付けられたクライスが呻き声を上げる。陰茎が喉の奥を突いたらしいが、吐き出さないように必死になって鼻で呼吸をしている。時折、口内のぬめった粘膜がリュナンの肉棒を締め付けるようにヒクつくのが堪らなく気持ち良かった。
「あ、これ良いな………。」
「ん、ン゛…!!ング…!!」
「…ふ、はぁ……。ああ…。出すぞ、クライス……!」
辿々しく舐められるだけと比べて随分と心地がいいことに気づいたリュナンは、クライスの頭を鷲掴むと、喉の奥を目掛けて突きながら絶頂する。その苦しさで、クライスの瞳からははらはらと涙の粒が散ったが、リュナンは構わなかった。
「ンッ…!ングッ……ゴプッ…ゴプ……!」
喉に叩きつけられるように出される精液を、クライスは必死で飲み下していった。
「ふぅ……。ふふ、そろそろ気づかれたんじゃないのか、これ」
立膝のまま息を荒げているクライスの身体の中心に目立つ隆起を、リュナンは足で圧し潰していく。
「ンッ…!ふぅっ…!!ン、ンンッ!」
突然の刺激に腰を引きながらも尻を振るその姿は、まるで尾を振って喜ぶ犬のようであった。
「どう?もし僕が今のお前みたいに一週間もオナ禁する羽目になってたと思ったら、辛いだろう?」
利き手の自由を失ったリュナンがクライスに求めたのは、毎夜の口による性処理と、反対にクライス自らの自慰の禁止である。
「はいっ…!…はぃい……!つ、つらぃ、です…、からぁ……!!ぉ、お願いですっ!御慈悲を、リュナン、さま……」
「じゃあどうして欲しいか、ちゃんと口に出してみろ」
リュナンはそう言うと、すいと足を引く。
「ひっ………ァア……!!て、貞操帯の……鍵を……開けさせてッ……くら、さ…ぁ」
「へえ、そんなの何処に付けているんだ?見せてみろ。」
「ッ…う………。」
初日に、怯えるクライスを尻目に強引に着けたそれ。それをさも知らぬ顔でそう告げるリュナンに、クライスは震える手でベルトを外し、ズボンと下着を下ろした。その中から現れたのは、熱くなった局部の根元を冷たい貞操帯がぐるりと戒めている様だった。
「あ……これ……です……。」
「ふうん。その鍵を開けたらお前はどうしたいんだ?言え」
「ッ、…!!しょ、処理、します…あっ…!リュナン様の、御前で、さ、させて、下さ…お願いします…。」
「僕の前で何をしたいって?もっと具体的に言え。やり直し」
「………ち、ちんぽ、擦っ、…ぅあ、ア……ッ…!!ヒギッ…!!」
もう何度目かになる痙攣に全身を震わせ、可愛そうにクライスはひんひん泣いている。空イキばかりを繰り返した彼の逸物は、赤色が黒みを帯びてきていて本当に辛そうだ。
「ちんぽ擦るなら貞操帯したまま好きなだけすれば?そうじゃないだろ、お前の求めているのは。」
不規則に荒くなった息を弾ませているせいで、クライスはもう上手く喋る事も困難らしい。飲み込めない涎を口角から垂らしながら、ぱくぱくと口を動かしてはいるが、ああとかううばかりで意味のある言葉は聞き取れない。
「落ち着いてよ。約束だからな。鍵は開けてやる。それから、どうしたいんだって聞いてるんだ」
「……ゥ……ァ…、かは…、……はぐ、ゥっ……」
いくらか優しい調子でリュナンがクライスに声をかけたが、やはりクライスは上手く喋れない様子で、ついに両の目からは涙がはらはらと零れ落ちた。クライスの震える指が根元を凶悪に抑えている貞操帯にかかり、冷たい金属のそれをなぞる。
「……はじゅ、し……ぇぐ……っ、も、こわれ、壊れりゅ……ちんぽ、い、痛ぃい…っ……いだぃ、よぉ……っ!」
「分かった分かった。今外してやるからな」
嗚咽を上げるクライスを宥めながら、リュナンは左手でベッド脇の引き出しを開け、小さな鍵を取り出した。もうとっくに自由がきく右手を吊っていた包帯を外して鍵を右手に持ち替えると、クライスの男根を戒めていた鍵を開けてやる。
カチリと、小さな音が響くと共にクライスの砲身はぶるりと震え、大きく反り返った。
「ンァ――――――、ァア、ア………!」
瞬間、先端からこぽりと真っ白なザーメンが垂れ落ちたかと思えば、後から後から押し出されるように粘度の高いそれがダラダラと流れ出てくる。時折固まりがあり、ボトボトと音を立ててカーペットに散った。
「だらしないな、触ってもないのに、ザーメンが垂れ流しだ」
「…ヒッ……ウッ……!…ウグ、ゥっ…」
ただ熱いものが尿道から次々に垂れ流されていく感覚。求めて止まなかった開放感とは程遠い、全身の疲労感だけを募らせるそれ。耐えすぎて本当に壊れてしまったのかと、リュナンはその様子を見ながらため息を吐いた。
「まあ、我慢しすぎると身体に良くないと言うしな…。それにしても、すごい量だな」
「ハァ、ハァ、ハァっ、ハ……はひっ…!…うあァア、も、ゃ、…!ら……イぎッ!!ィぎだぐ、ないィイッ!!ゃら、…ッグ!…ゃら、ゃらぁぁぁ!!」
またか、とリュナンが錯乱し始めたクライスを宥めるべく、手を伸ばす。
「落ち着け。いい加減、そろそろ打ち止めだろう?」
「ヒッ、ひっく、ひっく、…ぅえ゛、え゛…止ま、な………こわぃ、こわい゛ぃ゛……」
「よしよし。大丈夫だ。手伝ってやる」
リュナンはそう言うと、指で作った輪で脈打つ肉棒をぐりりと根元から先端にかけて扱き上げる。
「ヒギッ!!や゛あ゛ぁ゛、ぁ゛ッ!!ぁ゛…!!ぎづぃ゛ッ!!ぎぢゅい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛や゛ら゛あ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
どうやら刺激が強すぎると言っているらしかったが、リュナンには唸り声にしか聞こえなかった。もっと甘い声を聞き出そうと、彼の好きな先端の割れ目に指を這わせ、ネトネトした精液を掻き出すように動かしてやると、悲鳴に泣きが入った。
「泣くな」
「ゃめでぇぇ!!!やめで、やだ、やあああああ、あっ、や、ゃああっ、あ、????!!!」
プシュ、と精液とは違う熱い液体が迸るのをリュナンは指に感じた。遂に失禁したのだと悟った時には、もうクライスは意味の分からない声を上げて泣きじゃくっていた。
その様子に、もっと前に失神させてやった方が楽だったかとリュナンは舌打ちした。
「………ッく……、…ふぇ、…………ッ………」
その後腰砕けになったクライスは、ドロドロに汚れたカーペットの上に尻餅をつきながら、リュナンの腕に抱かれていた。背中をさすってもらい、ようやく落ち着いてきたらしい。
「…もう泣くな。女々しいのは嫌いだ」
ぐすり、とリュナンの肩口にクライスは顔を突っ伏して、鼻を啜りながらすみませんと小さく答えたが、全身の震えはまだ収まっていない。
「一週間オナ禁させて、僕の前で気持ちいい射精をしてもらいたかっただけなんけどな…。」
「ック……、ヴぅ、……ぅ………。すみ、まぜ…ずみませ……」
また部屋を汚した上に、リュナンの期待に応えられなかったことで気分を損ねたと感じたのか、また紫の瞳からは涙が伝った。ひく、としゃくり上げたクライスはとうとう顔を覆ってしまった。
それを見たリュナンはぐしゃぐしゃに乱れた髪を撫でながら、責めるつもりはないと声をかけた。
「…あの時クライスに庇って貰って嬉しかった。流石、僕の右腕だ。」
「………みぎ、うで……?」
「そうさ。お前はもう僕の右腕として十分務まるから。」
戦場でも、寝所でも。とリュナンはクライスに囁きかけた。
「もうお咎めは無しだ。また明日から、普段通り鍛練して、僕に仕えろ。」
「……、……は……はい…ッ……。」
「でも僕が求めた時はここへ来るんだ。口はまだまだだからな。…まあ、毎日しゃぶらなくても良くはなったかな。」
にやりと口角を上げるリュナンに、従者であるクライスは騎士として、夜はリュナンだけの性奴隷として、従うほか術が無かった。
終
20151014