クローゼットの中①
アーキス×クライスSSです。
一応、前に上げた出会い編の中に出てくるクローゼットルームの中で致してる様子がメインの話ですが、これだけでも読めると思います。
エロ甘いけど挿入なし。フェラ止まり。
リィナとの再会の際、立ち寄ったラゼリア長老邸。
数日前ラゼリアは無事に解放されたのだが、リィナは自分も騎士として軍に参加すると言って聞かなかった。そんな妹の旅支度に付き合う為、兄は再び、渋々そこを訪れていた。
「…まあまあ、そう難しい顔をすんなって」
「アーキス、いくら成り行きとは言え、やはり俺は……」
リィナの参戦にオイゲン譲りの小言を漏らすクライスの隣には、もちろんその元凶であるアーキスの姿もあった。
妹も妹なら兄も頑固だと、アーキスは耳にタコを作りながらも懐かしい空気に身を浸していた。
クライスが妹を待つ間、ラゼリアから離れたあの日、そういえば自分も部屋をろくに整理しないまま出てきてしまった事を思い出した。鍵を借り、以前使わせて貰っていたその部屋へ向かうことにした。
少し埃を被った扉を開けてみると、家具もベッドもカーテンも、そのままだった。
「懐かしいなー。」
「…おい、何でお前もついて来るんだ?」
「手伝おうと思って」
「手伝うならリィナの方を…」
「女の部屋に男がノコノコ入っていけるかよ、メイドも居るから、大丈夫だって」
それもそうかと、一つため息をついたクライスは、机に置いたままで埃を被った書類や文具類を黙々と片付けていく。
「…ここも、そのままかー…?」
手伝うと言いながら、アーキスはうろうろと動き回ると、部屋の角にある薄い扉を開けた。
「アーキス!そこは…」
それに気づいたクライスは、慌ててその後ろに続いた。
湿気た埃の匂いが強くなる。
「見ろよ、こんな狭かったんだな、ここ」
「……そうだな…」
そこは部屋に造りつけられた、窓の無い小さなクローゼットルーム。
壁に沿って整然と置かれている洋服棚は、子どもの頃は重厚感を感じていたが、今は逆に低く、記憶よりもずっと小さく感じる。
「カーペットもそのままだ、うわあ懐かしー」
アーキスははしゃぎ中へと歩を進めた。と言っても、5歩も歩けば奥の壁にぶつかる程度の広さしかない。
「あ、染みがあるぜ、ここ。…いつの時のだろうなあ…」
「! アーキス、ここは俺が片付けるから、もう…」
「何でだ?思い出す?」
「…っ」
黙り込んだクライスの方へアーキスが近づき、中に引き寄せるようにして肩を抱いた。入り口の扉がアーキスによって閉められる。
クローゼットが密室になったことで、胸の鼓動がどくり、と高鳴った。
覚えていない筈がない。
ここで――アーキスと行ってきたことは…。
「何でこんな狭ッ苦しいところでヤってたんだろうな、このカーペットもザラザラで、あっちのベッドの方がよほど快適だってのに」
「…少しでも隠れたかったから、じゃないか?」
「恋人同士がベッドで寝るのは当然だろ?今なら余裕で――」
「よせ、アーキス」
「何だよ、ここで隠れてヤってたこと、今さら嫌だったとか無いぜ?」
「違う……そんな訳、無いだろう…」
「じゃあ、チューしろ」
「…………。…ん……」
忘れもしない、秘密の思い出たち。
アーキスの想いを受け入れてからも、始めは、こんな風に戯れにキスを交わすだけだった。
だが思春期の俺たちはそれだけでは収まるはずもなく、しかし、知識もない。
まだ幼い性器を擦り付け合ったり、手で愛撫したりと、この部屋の中で稚拙な行為を繰り返していた。
クライスは抱き合いながらするそれで十分に満たされていたが、アーキスは違った。
次第にキスをする時に舌を差し込むようになり、服を捲り上げてクライスのぽっちりとしたピンクの乳首をくすぐったり、ずり下ろすだけだったズボンを剥ぎ取って裸にしたり…と。
行為は段々、エスカレートしていった。
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「俺、クライスと繋がりたい」
「…え?」
いつものように固い床の上で抱き合いながら、今も繋がっていると感じていたクライスは、きょとんとしてアーキスを見た。
「男同士はな、クライス……。街の酒場で腹くくって聞いてきたんだ、どこに挿れるのかって」
「いれ…る? 何を……?」
「俺のチンコだよ。」
アーキスを見つめる紫の瞳が、驚きで見開かれる。
「男と女がセックスする時のやり方ぐらい、クライスも知ってるだろ?チンコ挿れるじゃん?」
「セッ……」
想像して、純情なクライスの顔が赤面する。
「俺はクライスが好きだから、クライスに挿れたい。クライスとセックス、したい。……嫌か?」
意を決したようにアーキスがそう尋ねてくるのに、応えない訳にいかなかった。
「あ、アーキスが喜ぶなら……。嫌じゃない…」
「クライス、俺じゃなくて、お前の気持ちは?」
「………分からない…。けど、アーキスと、もっと、繋がれるなら…嬉しい…」
「…お前と、セックスしていい?」
アーキスの言葉に、クライスはおずおずと頷く。しかし、疑問があった。
「アーキス…でも、その…どこにお前の、いれるんだ…?穴って、…まさか…」
「そうだよ、ここだよ」
「ひぅっ!?」
そう言うとアーキスがクライスの蕾に手を伸ばす。
思いもよらない所に触れられたクライスは、小さな悲鳴を上げた。
「尻の穴…最初は痛いらしいから、ちゃんと慣らして、気持ち良くしてやるから。」
「ま、待て、アーキス…!そんな、ところ…!不潔だ…!!」
「クライスの身体に汚いとこなんか無えよ。な、力抜いて――」
「ひっ……や、…やぁっ」
スリスリとアーキスの指が、ヒダの上をくすぐる。熱くしっとりとしたそこが、アーキスの指先に反応してギュッと引き締まった。
皺の寄った穴の中心に指を当てると、非常に固い。
「力抜けって…これじゃ小指すら入んねえよ」
「嫌だ…恥ずかしい……そんな所、狭くて、入らないに決まってる…!」
「だから、これから解すんだって言ってるだろ!力抜けっ」
焦りからか、思わずアーキスの語気が荒くなる。身体の下で暴れてもなお執拗に押さえ付け、触れてくるアーキスに恐怖を感じ、とうとう、クライスはべそをかき始めた。
「…ううっ……。やっぱり…怖い、…嫌だ……アーキスぅ……止めて……」
これではセックスどころではない。
「ああ……泣くなよ、もう…。」
アーキスは自らの性急さを少し反省しながら、クライスの唇にチュッチュッとキスを落とし、気を紛らせようとした。
一旦指を入れるのは諦め、いつものように前の方を愛撫するのに切り替える。力なくくたりと萎えたそれを、クニクニと揉んでやる。
「っ…グスッ……ぅ……、んぁ……」
クライスは鼻をすすりながらも、いつものように与えられる刺激に身を任せていった。
やがて、こぷりと先端から先走りが溢れ、それを見たアーキスは何か閃いたようにクライスの性器に口を近づけた。
「ヒッ、ぁ…?アーキスっ…?!」
ピチャ…とアーキスの唇が濡れた亀頭に触れ、その雫が舌でちろりと舐め取られる。
「やぁあ…?!舐め、ヒゥンっ!…駄目、き、汚…」
「汚くないから…。美味いぜ、クライスのチンコ…エッチな味がする」
そう言ってアーキスは、クライスに見せ付けるようにしながら、再びペロペロと亀頭に舌を這わせていく。
「ァン…!ひゃああぁっ!アッ、やめッ!!…駄目ぇっ……!!」
クライスの悲鳴を無視して、つるりとした亀頭から、括れ、裏筋と徐々に舐める範囲を広げ、ついに亀頭全体をぱくりと口の中に咥えて吸い上げた。
「アッ、アッ、らめ、ァァ――ッ!ァハ、ァ…ッ、……吸わな、れぇッ……」
クライスが半泣きでそう言ったので、アーキスは再びペロペロと、まるでキャンディーを舐めるようにクライスのペニス全体を口に含み、舌を絡めていった。
先端から垂れる塩辛いような味が濃くなり、苦味が増してきたので、ビクビクと波打ちながらパンパンに膨らんだそれを、ちゅぽ、と音を立てて一旦離す。
「…どう?感想は?」
「…ハァ、ハァッ……恥ずかし…けど、…ァ、アーキスの、舌…熱…くて、……気持ち、ぃぃ……」
「俺も初めて舐めたけど、クライスのチンコが口ん中でビクビクしてて、可愛いぜ…」
「っ…お、俺も……ッ……アーキスの…舐める……」
「え、マジで?じゃあ…」
アーキスはすっかり高ぶった自らの砲身を取り出し、クライスに見えるようにした。
起き上がったクライスは膝立ちになると、アーキスの股関へ顔を埋めるようにしてそのペニスへ舌を伸ばす。
(うわ、すげ……ホントに、舌って熱い……)
クライスの言った通り、ピチャピチャと舌が這う感覚に、アーキスはすぐに夢中になる。無意識に、クライスの後頭部に手を添えていた。
「アッ…いい…クライス……。もっとカリのとこ、ペロペロして…」
「チュ………ペロ…ピチャ…」
「そうそう、それで、そのまま咥えて、舌動かして…」
「ン…ンッ、ンチュ……チュパ、パクッ……レロレロ……」
アーキスの指示通り、クライスは懸命に舌を動かす。クライスの口内に負けないぐらい熱いその肉棒を、水音をさせて夢中でしゃぶっていた。
(クライス、上手いっ……!ああ、もう…出ちまいそうっ…!)
アーキスはクライスのサラサラした髪を握りくしゃくしゃにしながら、その絶頂に耐えていた。
しかしそれが逆にクライスの頭を押さえつけてしまっている事に気付いていない。
一方のクライスは、押さえられているが為にアーキスのものを根元近くまで咥える事になっていた。
呼吸はフゥフゥと荒く、酸素が薄まったことで瞳はとろんと潤んでいる。
「アッ…!く、クライスっ…!も、俺、イきそ…ッ!!ッ、出るっ…!」
「ン…!!ン゛、んむ……ッ!!」
ついにアーキスは快感に負け、クライスの口腔内で射精してしまった。
ビュッ、ビュッとそれは全てクライスの舌や咽に張り付き、白濁まみれにしていく。
「ハァ……ハァ……ハァ…、! あっ、やべっ…!」
慌ててアーキスは抑えていたクライスの頭を離し、様子を伺った。
「ぷぁ……ハァ、ゲホッ……、ハァ、ハァ…」
案の定、クライスの半開きの唇の端からは、たらりと白くて粘ついた液体が唾と混じりながら滴っている。
「クライス、ごめっ…、我慢できなくて出しちまった……。ほら、それ、ここに出せよ…」
アーキスはポケットからハンカチを取り出してクライスの口元に近づけたが、クライスは頭を振った。
「ンンッ…クチュ……はぶ…」
クライスは口の中に溜まったそれを、少し自らの手の中に出した。その白く独特な匂いがする精液をうっとりと見つめながら、思いもよらない事を言った。
「こぇ…アー、キスが……気持ち、よくなってくれた、証だから……飲む…」
「へ?でも、……味とか、まずいだろ?」
「んく……ジュル、……ぅ、ぷ…」
ごくり、と微かな音と共にクライスの喉仏が何度か上下し、それを飲み込んでいる事を知らせる。
(うわ…ホントに、飲んだ……)
アーキスはその淫靡な様子に、目が離せなかった。
「………上手に俺のミルク、ごっくん出来たか?」
「ン……。…赤ん坊…みたいに、言うな……」
「へへ、ごめん、つい。…どうだ、クライス、俺の精液汚いとか思った?」
「いや………」
「だろ?俺も同じ気分だぜ?だから、また舐めていいか?」
アーキスは言うが早いか、再びクライスの下腹部で存在を主張しているそれに顔を近づける。
「あっ、も……!俺は手でいい…」
慌ててクライスがその先端を手で覆ってしまった。
「何でだよー」
「は、恥ずかしい…」
顔を赤らめてそう漏らすクライスに、アーキスはふうと一息ついた。
「…分かったよ。でもこの次は俺も舐めてイかせてやるからなっ、覚悟しろよ」
そう言いながら、クライスへクチュクチュと手淫をして高ぶらせていく。
「ン…!く、ァアッ……、アーキスッ……!!ンン……!!」
あっという間に昇りつめたクライスの精が腹の上に散らされる。それをアーキスは先ほど出したハンカチで拭い取っていった。
「あれが最初のフェラだっけ、確か。クライスが舐めるの上手くてびっくりしたぜ。で、ケツに入れたのは――」
「……3日後、だ」
「次の日からクライスが風呂に入る時間、長くなったよな」
「………。お前も受け入れる身になってみればいい……」
「ははは、クライスの入れられたら俺のケツなんか、一たまりもないぜ」
キスをした後、二人はいつの間にか固いカーペットの上に寝転びながら、思い出を語り合っていた。
「なあ、クライス…懐かしいな…」
アーキスの手がクライスの頬に伸び、するりとひと撫ですると、また唇を寄せる。
クライスもそれに身を任せていた。
続く
2015.2.22