甘いものは腹の中に

アーキス×クライス、ちょっと遅くなりましたがバレンタインもの。
甘々でギャグっぽい小話です。69でイチャイチャ。
本編始まる前のラゼリアに住んでる時代の話だと思って下さい。



2.14-St. Valentine's Day-
遠い異国からユトナ大陸に伝わったこの日は、異性間…主に女性から男性へ、愛の証としてチョコレートを渡す日であるとされる。
ただし、愛の形は様々で、相手に対して真に愛する気持ちを込めたものもあれば、ほんのお裾分け程度で配られるものもある。
前者は本命、後者は義理のチョコと呼ばれるが、若い男に至ってはそれすら気付かず、とにかく貰える数が多ければ多いほどモテているステータスであると勘違いする者も少なくない。

そんな慣習に例外なく乗せられているアーキスは、満足顔で自室の扉を足で蹴り開けた。突如として激しい音と共に開かれた扉の方を、中に居たクライスが見やる。
「アーキス、戻ったのか?……っ、何だそれは」
「ふふふ…見て分からないか?」
両手いっぱいに小綺麗に包装された箱や袋を抱えたアーキスが、開け放った扉を足を後ろに回して器用に閉じる。
「チョコレートだよっ、今年も、大漁だぜっ」
そう言うが早いか、鼻歌混じりでクライスのいる机にそれをドサドサと置いていく。赤やピンク、金に煌めくその数は大小様々ではあるが、クライスが見たところざっと20個はあるだろうか。
「全部、貰ったのか?」
「ああ、もちろん。この日のために酒場や遊技場に通い詰めておいて良かったぜ。」
「…それで遅かったのか……」
はぁ、と小さな溜息を付いて、クライスは読んでいた本を閉じた。
「何だよ、そう言うクライスも貰っただろ?ま、色男の俺の数には敵わないだろうけどな」
「自分で言ってるなら世話は無いな。ところで、これ全部食べるのか?」
「ああ?こういうのは見て楽しむもんで、食べるなんてのは二の次だぜ。…あ、そうだ。リィナからも貰って来よう!」
そう言ってアーキスは、クライスに踵を返すと再び部屋から出て行った。完全に浮かれている。
あの様子では、自らの知る女という女にチョコレートをせびって歩き回って来たのだろう。
(全く…見てるこっちが恥ずかしいな)
クライスは頭を抱えながら、大量に置かれたままのチョコを見て、さてどうしてやるかと思慮を巡らせた。

「たっだいまー!」
半刻後、アーキスは帰って来た。
手には可愛らしい赤のリボンがかかったトリュフの小箱。
「ふふふ、リィナのやつ、俺のために、一丁前に手作りで用意してくれてたぞ。流石クライスの妹だな…って、あれ?」
アーキスが椅子に座った時、はたと気付いた。

ない。

先ほど置いていったチョコレートの山が、机の上から綺麗サッパリ無くなっている。

「……あれ?クライス、チョコレートは…」
「邪魔だったから、片付けたぞ。あれじゃ机に何も置けない。」
「あ、そっか、サンキュー。…で、どこに?」
キョロキョロと部屋の中を見回してみたが、それらしきものは見あたらない。
「全部で19個。そのリィナの分を入れたら、20個だな」
「あれ、数えたのか?何だよ、お前もやっぱり俺が何個ゲット出来たか気になるんじゃねえか?」
「いや、食ったからな。」
「ハイハイ、食って………って、え、えええええええっ!!!!」
クライスのまさかの発言に、アーキスが叫ぶ。
「うるさいぞ」
「ハァ?!クライス、てめぇ…!!何、人のチョコレート勝手に食ってんだよ!!!しかもあんだけの量!!あり得ないだろ!!!」
「お前さっき、食うのは二の次だと言ってたじゃないか。置き場所も無いし、それにこういうのは大抵生のクリームを使っているから、早く食べないと腐る。」
「だ、だからって……お、俺の……集めた…」
「数が分かれば良いんだろう?お前は、そのリィナの作ってくれたのだけ食べていれば丁度いい。」
去年はまんまと腐らせてたしな、とクライスは呆れた顔で続けた。
「くぅ………」
確かに、アーキスは甘い物がそんなに好きではないし、そのまま食べずに放置していれば、結局はクライスの言う通りである。
だが、どうしても納得いかない事がある。

「…ホントにお前…あれ全部食ったのかよ…?」
「ああ。ケーキも幾つかあったな。」
そう言えば、この相棒が極度の甘党だったということをアーキスは思い出していた。

「…頂きます。」
観念して、アーキスはリィナから貰ったトリュフを食べる事にした。二個入りのそれ。
「一つくれ、味見したい」
「ま、まだ食う気かよ!?」
「こうなる事を予想して、夜は抜いてあるから平気だ。」
「………………。」
ぽかん、と口を開けたままのアーキスを尻目に、クライスは箱に残されたもう一つのトリュフをひょいとつまむと、あっという間に口に運んだ。
手に付いたカカオの粉を、赤い舌でペロリと舐め取る様がやけに鮮明に目に付く。

「…………いや、やっぱり足りない!」

アーキスは、ガバッとその場に立ち上がった。

「クライスからのチョコレートを、貰ってない!!」

突然何を言い出すのかと、クライスがアーキスを見上げる。
「…俺から?悪いが、何も用意していないぞ」
「あるだろ!…ええと……腹ン中に!」
「…アーキス…お前にそんな趣味があったとは…」
「違っ!ああもう……出るやつあるだろ!」
「っ…………。」
アーキスが何を言わんとしているのかを推量したクライスは絶句する。
思わず身体を扉の方へと傾け、逃げの姿勢を取った。
「…あ、ウ○コの事じゃねえから」
険しい顔をして警戒するクライスの様子に、アーキスが慌てて付け足す。
それを聞いて、クライスは肩に入った力を抜いた。
「男なら誰でも出せる白いの。なあ、いいだろ?バレンタインだし…」
「…ふぅ、全く………」
クライスの返答を待たず、アーキスが近づく。
そのまま、そっと唇が重なった。

「クライス、口、甘いな…」
「……チョコレートのせいだろ?」
「お前が食べた分、俺もお前の身体を食わせて貰うからなっ」
首元に顔を近づけ、がぶかぶと噛みつくような仕草をするアーキスにクライスは苦笑しながら、ベッドへと移動し、身体を横たえた。
「明かり、付けたままでいいよな?」
「ああ…」
スルスルと服を脱ぐクライスの白い肌が露出する。アーキスも同じく上着を取り去り、ベッドの上へ乗り上げた。
「待て、俺が脱がしてやる」
「あ……」
楽しげにズボンのフチを握ってそれをずり下ろし、脚から抜き去ると、アーキスの前には生まれたままの姿で横たわるクライスがいた。

「じゃ、頂きまーす」
明るい声でそう宣言し、アーキスはクライスの秘部へと顔を近づけた。
まだ完全に立ち上がっていないそれは、ぱくりとアーキスの口に咥えられた。
「…っ、あ………」
銀紫の陰毛に顔を埋めて、アーキスの舌がクライスの陰茎に絡み付く。甘い刺激が伝わり、それは瞬く間に血液を集め、質量を持ち始めた。
その変化に満足気なアーキスは、ピチャピチャとあえて音を立てながら、愛撫を続けていく。
「チュ…チュプ…ペロ……、ん…?…でっかくなってきたぜ、気持ちいい?クライス」
「ぁ……ッ…、気持ち、い……アーキス……」
「ペロペロ…クチュ、……はは、すげー、もう口ん中収まんねえや」
クライスのモノは、既にアーキスの口から飛び出す程に勃起していた。いつもより明るい部屋のせいか、その怒張の大きさもよく分かる。
「デカいよな…俺、昔これ見て、1年後にはこうなると思って期待してたのに、全然ならなくて凹んでたし」
そう呟きつつ、チロチロとアーキスの舌が亀頭の先や括れを行き交った。
「ン……ぁあ、それ、イイ……アッ…アァン……ッ」
「デカいとやっぱり感度も大きいのか?ほれほれ」
ツンツンと柔らかい亀頭を指で弾いたり、先端の尿道口を戯れにつついてみる。
「アッ、フゥ……ンッ…、あ、遊ぶなっ……ひゃん、アッ……」
ふーーっと熱い息を吹きかけられて、クライスの声がワントーン上がった。

「俺のも咥えてくれよ、な?甘いモノ好きだろ?」
「あ、甘くは無い、だろ……お前のは…」
「いいからいいから。なっ、反対向いて、上乗れよ」
クライスの横にアーキスがどさりと横たわると、クライスはおずおずと起き上がる。
自分でズボンを下ろしたアーキスの股座からは、こちらも既に勃起したペニスがあった。クライスはそれに顔を寄せながら、膝立ちになり、ゆっくりとアーキスを跨いだ。
つまりアーキスには、クライスの陰茎やらぷっくりとした陰嚢、その下の会陰までが丸見えの格好になる。
「おお、すげー、いい眺め」
「っ、馬鹿……恥ずかしいだろっ…」
しかしアーキスは、クライスが足を戻したり閉じられないように、既にがっちりとクライスの膝を抱えている。
「もっと腰落とせよ、クライスのチンポ、食べられねえから」
「くっ、……ん………」
膝をぐいぐいと拡げようとするアーキスに、仕方なく、クライスはアーキスの顔へ向かって更に腰を落としていった。羞恥が襲うが、それを紛らわすように自らも眼前にあるアーキスのペニスを口に咥えた。
「ああ、いいぜ…クライス……」
「クチュ……はむ、ン……ンン…、チュ、チュプ……」
クライスの口腔内の熱さを感じながら、アーキスもクライスのモノへの愛撫を再開する。腹に付くほど反り返ったそれを、手で扱きながら口に含む。
「ふ、むっ…!ンッ、ゥン…!ンンン…!」
亀頭をチュッ、チュッと吸いながら雁首の部分を素早く扱いてやると、クライスの腰が震え出した。先端から、じわりと塩辛い我慢汁が染みだしたのをアーキスはしっかり舐め取っていく。
「ン…こっちは、どんな味だ?」
アーキスは扱く手はそのままに、今度は陰嚢に舌を伸ばす。フニフニと柔らかいマシュマロのようなそれを舌の先で弄び、ぱくりと甘噛みをしてやると、クライスは切なげに喉の奥で鳴いた。
しばらくそれを堪能した後、アーキスはついにクライスの後ろの穴に狙いを定める。
「最後はここ、な」
スリ…とそのヒクヒクと震えるアナルの縁に手をやり、可愛らしいヒダを広げてやると、赤くなった中身がチラリと覗いた。
「! んぷぁっ、ァっ、やめ…!汚い……ッ!」
咄嗟に何をされるか気付いたクライスがしゃぶっていたアーキスのものから口を離し、抗議するが、アーキスはお構い無しにその中心へ尖らせた舌先を伸ばしていた。
「ひゃあっ、アッ、アッん…!!ゃあッ…!」
ヌプリ、と濡れた舌が孔の中に潜り込むと、遠慮なしに入り口付近をグリグリと突きながら舐められる。それは段々と深くなり、抜き差しを繰り返した。
アーキスの息が性器にかかり、クライスはまた羞恥に顔を赤くする。さらに軟体生物のような舌の動きに翻弄され、腰から下の力が一気に抜けていった。それがペニスへの快楽をいっそう享受することにも繋がる。
「ハァッ、ァ、アハァッ…!ァ、アンッ…も、ゃッ、アァンッ!と、溶けるぅっ……ふ、ァァ………」
いつしか痺れるような快感で腰が砕けたクライスは、アーキスの顔面に下半身をすっかり押し付けるような格好になってしまっていた。
喘ぎが止まらず、涎まみれの口元に、アーキスの屹立したペニスが触れた。
「…ァアッ、アッ…アーキスもっ……ハァッ、気持ち、よく………」
アーキスの望みを思い出し、クライスはそれを再びぱくりと咥えた。
フウフウと荒い息を吐きながらも、口を窄め、深く咥えてはジュルジュルと唾を絡めながら舌で巧みに扱き上げる。
それに気付いたアーキスが、ようやく舌を抜いた。
「クッ、…すげ……気持ちいいぜ…!クライスも……ほら、ここ、だろ?」
アーキスの唾液に濡れてすっかり柔らかくなった後孔に、プチュリと音を立てて人差し指と中指が突き入れられる。それはクライスの前立腺をしっかりと捉え、揉み解した。性器に、腰に、背筋に、そして脳天まで、まさしく溶けるような快楽がクライスを襲う。
「ンンッーーーー!ンッ、フゥンッ!ンッ、ンッ!」
ビクビクとクライスの身体が跳ね、絶頂に達しそうになっているのを悟ったアーキスは、クライスのペニスを扱くスピードを上げた。
「ゥ…クウッ、アッ……俺も…イきそ…ッ…!」
「ンッ、ンンーーーー!!ングッ、ンッ……!!フゥンンンンッ!!!」
やがて、手の平に向かって熱いものが噴き出した。クライスが射精したのだ。
それに合わせて、アーキスもクライスの喉の奥で果てていた。

「ハァッ…ハァ…ハァ………。あーー…出た………ミルクチョコレート………」
アーキスは天を仰ぎながら、クライスの精液にまみれた手を口元に持って行くと、ペロリと舐めた。もちろんそれは甘いはずもなく、青臭い、なんとも言えない味しかしない。
「すげえ量……ネバネバだし……興奮し過ぎだって……」
アーキスがチラと横を見ると、崩折れたクライスの尻があった。
汗でしっとりと濡れて皮膚がほんのり赤くなり、乱れた呼吸で上下しているそれは、例えるなら桃だ。
「ああ、重かった…。クライス、お前甘いもの食べるのはいいけど、そのうちデブになるぜ」
「ハァ、ハァ……誰がデブだと……?」
少し充血して涙目ではあったが、呼吸の整ってきたクライスがそれに反論する。
「今も尻とか胸板とか、ちょっとムッチリしてるぜ、…まぁその方が抱き心地が良いけどな」
「ッ……うるさい……少々食べ過ぎても、こんな風に運動していれば大丈夫だ…っ」
「ん?そう言えばお前、俺の精液飲んだのか?」
その疑問に、しばし、クライスが沈黙する。
「…………………当たり前だ…………。」
そう答えたクライスの頬には、また朱色が指していた。
「へぇ…苦いのもいけるんだな、俺はムリだけど」
「………俺は元々、好き嫌いがないだけで……」
「はいはい。…で、どうする?続き、してもいいか?お前のナカも、出来上がってるだろ?」
「……、……ああ……」
クライスはそう言うと、そろりと起き上がってアーキスと向かい合う形になった。
「お前のたっぷり出したホワイトチョコで、俺のチョコ色バットをコーティングして挿れてやるから、美味いと思うぜ」
「ッ…冗談はもういいから、早くするぞ……!」

そして、二人は結局、夜更けまでバレンタインデーを大いに楽しんだのであった。

2015.2.16