賽コロゲーム2

引き続き変態スカトロゲームにつき注意。
モブ(オイゲン)とかも出てきます。
エロはなし。



リュナン達は帝国軍との激戦の最中にあった。決して多くない軍勢をして要塞への進軍を推し進めるため、テントの中では軍師オイゲンその他手練の老将軍達が、忙しなく進軍経路について言論と唾を飛び交わしていた。
それがその日は、早朝から昼間を過ぎても、なかなか纏まりをみせず、各自難色を示していた為、周囲の兵達は隊列を維持したまま待機を命じられていた。
これを殆どの兵士はのんびりと構えていられるとこれ幸いに感じていたのだが、その中にあって一人、切羽詰まった様子の者がいた。
――クライスである。

「リュナン様、失礼します。…リュナン様?」
進軍前、早朝、鎧を身に付けたクライスは何時ものようにリュナンの自室へ向かったが、部屋には鍵が掛かっていた。リュナンはクライスが来るよりも早く戦地へ赴いていた為、不在であったのだ。
(そんな……)
これが意味する事…即ち、戦場でリュナンを見つけない限り排泄は不可能ということである。既に夜を越して膀胱に溜まった尿を抱えたまま、自らも戦地へ赴かねばならない。ゴクリと、クライスは唾を飲み込んだ。
(……仕方ない…早くお探しして、許可を得るしか…)

おそらく、将軍達の集まるテントの中にリュナンが居る事は察知出来た。だがその中に入って、果たして許可を得る事が出来るだろうか。更に、ゲームで使用するグラスは部屋の中に置かれたままだとしたら…。
不安ばかりがクライスの頭に巡るが、しかし戦が終わるまで尿意を我慢出来る筈は無い。待機命令が下っている今しか、チャンスは無いのだ。
「アーキス、」
「ん?何だ、相棒?」
「少し抜ける。代わりに馬を…頼む。」
「ああ、いいぜ、ごゆっくり」
もちろん、アーキスには用を足しに場を離れる事は悟られていた。戦地では良くあることだ。クライスは物分かりの良い相棒に心の中で感謝しつつ、いよいよ重くなり始めた膀胱の出口に力を入れ、リュナンの居るテントへと歩を進めた。

「このルートは……で、あるからして……」
「しかし貴殿のそれは、弓兵を無闇に矢面へ出し過ぎる。ここは……を迂回して…」
「それでは要塞攻略に時間が……」
リュナンの前では、オイゲンその他が机に置かれた地図を指差しながら、口々に戦術を交わしている状態が案の定続いていた。正直、退屈さを感じ始めていたリュナンが唯一心待ちにしていたのが、これから現れるはずの哀れな騎士…。もう日が高くなり過ぎて、やや傾きを見せる時間だ。今日は朝から一度もゲームをしていない。きっとかなりの我慢を堪えている筈だ。
実をいうと、こうなる事を知って、あえてリュナンはオイゲンに口を出さずに構えている素振りをしているに過ぎない。そしてその期待は、やはり時を待たずして実現する事になる。

「あの…すみません」
不意に、テントの入り口から声が響いた。
「誰だ?」
「第2番隊騎士、クライスです……リュナン様に、お目通りしたく…」
「リュナン様は今軍議中だ。ならん」
「ッ……、そんな…、いえ……待機は何時まで続くのかと、お聞きしたく…」
「ならん、それはまだ結論が出ていないのだ。隊に戻り、待機を続けよ」
テント番とのやり取りを聴きながら、リュナンは内心、小躍りしそうなほどに愉快だった。クライスの焦りが、テントの幕一枚から伝わってくる。
「い、いえ…ほんの少しで良いんです、リュナン様に、お伝えしたい事が……」
諦めて引き返すかと思っていたが、クライスはなお食い下がっている。余程切羽詰まっているんだろう。
「しつこいな……だからならんと…」
「良いよ、入って来い、クライス」
リュナンはついに、そうやって必死のクライスに助け船を出してやる。いや、助けというよりは本来の意味からして逆の結果を招くことになるかもしれないが。

「は……畏まりました。通れ」
「リ、リュナン様…ありがとうございます…失礼します」
リュナンが外へ声をかけたことでようやくクライスの訪れに気づいたオイゲン達が、話を止めて一斉に入り口へと目を向けた。
「クライスか。どうした、今は取り込み中であるというのに、リュナン様に伝言などと」
オイゲンがそう言葉をかけると、他の者もそうだ、何の用かと口々にクライスへ言葉を投げかけた。
「ッ…、いえ、よ、用は……その…」
突然老兵達に囲まれる形となったクライスはたじろぎながら、何とかリュナンへと視線を送る。
「僕に用…?何だい、手身近に頼む」
素っ気なくリュナンはそう言い放ちながらも、クライスの様子をしっかりと探っていた。左手は握られて腹の前に置かれ、僅かに足が内股になっている。額には汗が光っていた。そして、何より顔が赤い。色白の彼はそれがひときわ目立つのだ。
「は……、リュナン様……その………き、許可を」
「何だって?聞こえない」
わざと声を荒げて聞き返すリュナン。その声にビクッとクライスは身を竦ませた。
「何だ、やけに震えて、風邪かお主」
オイゲンの素っ頓狂な呟きを無視しつつ、クライスの返答を待つ。
「……ぁ…の……、賽、を…投げさせて……下さい……。」
「賽?これのことか?」
リュナンは懐からあの小さなサイコロを取り出すと、正面の軍議机に放った。
「はい……ありがとう、ございます、っ……」
地図の上に転げた賽を汗ばんだ右手でつかむと、クライスは大きく息を吐いた。周囲の者は、その様子の意味が分からず、何だ何だと口々に疑問を唱えている。
だが、クライスには時間が無いのだ。

(早く…、これを振って……)
カラ、とクライスはいつもより大きくその小さな賽を投げた。出目が大きい数字であることを期待しながら。
だが。

(………!!)
「1…か」
「1ですな。して、そのサイコロに何の意味が…?」
現れたのは、赤い1の丸。それを見たクライスは目を見開き、動揺を隠せなかった。
「ゲームだよ、これはね、僕とクライスが毎日行っているゲームさ。せっかくだから見学するか?」
「ま、待って下さい、リュナン様っ…!む、無理です、1は……ッ」
慌ててクライスがそう悲痛な叫びを上げ、リュナンに近づいた。しかし身体は、賽を振った次の動作を期待して勝手に尿意の波を昂らせてしまう。
「あっ…ぁ……うっ……お願い、です……もう一度、振り直しを…」
「クライス、ゲームのルールは教えただろう?もう一度振りたかったら、一度ゲームを終えてから退出すればいいだけの話だ。」
「ゲーム…?はて、どんなものか興味がありますが、今はそんな状況ではありませぬぞリュナン様」
流石にクライスの様子がおかしげなのに感づいたオイゲンがそう発したが、リュナンは元より聴く耳を持っていなかった。
「オイゲンは黙っていろ、これは僕とクライスのゲームなんだ」
「……ぁ、あぁ…そんな……ん、んんっ!…」
ついにクライスは、左手を股間に押し当てた。更にその上に右手を重ね、まるで小さい子どものように前を押さえる姿を晒した為、それを見た将軍達がどよめき出す。クライスの此処へ来てからの不審な動きが、小便を我慢している事からきていることを悟られてしまった瞬間であった。
「さあ、グラスならこれを使えばいい。丁度一つだ」
そう言ってリュナンは、先程まで自分が水を飲むのに使っていた、いつものワイングラスより小さめのグラスをクライスに差し出した。しかも、底には僅かに水が残っている。だが今にも下着を濡らしてしまいそうな程の状態になっているクライスに、断る余地は無かったのだ。
「…………ッ……」
(これに少しでも出して、止めれば……そしてすぐに戻って…、もう一度、続きを……)
今にも泣きそうなクライスであったが、意を決してズボンの前を寛げ始める。ガチャガチャガチャと激しくバックルが外されたかと思うと、左手はもう机からグラスを取り上げていた。
右手で陰茎を引き摺り出すと、それはもう止められなかった。

「み、見ないで下さっ…、っ!…んはぁっ!!」

ブシュアアッ!!ジョロボボボボボボ!!!

ぱっくりと開いた尿道から、けたたましい音を立てて尿が迸った。同時に襲い来る解放感に、ガクガクと膝が打ち震え、背筋は反り、大きく腰が突き出される。何ともみっともない姿で、あられもない音を響かせての大放尿。
「ふぁ…ぁ…ッ……あっ…」
先程まで眉を寄せ、脂汗を滲ませた眉間の皺が消え、惚けたような声を漏らすクライスが、茹で蛸のように真っ赤になっている。
リュナンは思わず笑い転げそうになったが、ニヤリと吊り上がった口角を手で隠すに留めた。
「き、貴様、リュナン様の御前で何を……」
「無礼な!!早くそれを止めて、仕舞え!」
騒然とする周囲の怒号に晒されながらもなお、クライスの放尿は止まりそうに無かった。
(気持ち……ぃ……っ………こんな、見られて、る……のに……)
「ハァァ…ッ…、アッ…ァン…っ…」

ジョポポ…!ブシュウ――ブシッ!
プシ――――

ついに小さなグラスの中に溜まった尿に陰茎が浸かり、グングンと水位を上げていく。ペニスを包む熱さに、ゾクゾクとした快感が上がり、ますます全身の力が抜けていった。
(もう…止め、ないと…溢れる……溢れるッ、のに……)
黄色い液体が並々とグラスを満たしたかと思うと、その瞬間は一瞬だった。

チョロ、チョボボ……ビシャシャシャ…

「くふぅ……!んッ…!」
ついに溢れ出した尿は左手を濡らしながら、地面へと色濃い染みを広がっていく。思わず身じろぎをすると、傾いたグラスからまた溜まった尿が溢れ、大きな音を響かせた。

「…クライス、グラスが一杯になった様だが?」
不意に聞こえたリュナンの声に、クライスは目を見開いた。
「出目は1だ。終わりだよ。早くそれをここへ置け」
(……!!…い、今…そんな事をしたら……)
「クライス」
「ひっ、………は、ふぁい…ぃ……」
ぬぽ、と、クライスはグラスに浸かった陰茎を引き抜き、間髪入れず右手で押さえつける。瞬時に重い痛みが下腹部を襲う。無理矢理に尿を止めているせいだ。
震える左手で尿塗れになったグラスをリュナンの机に置こうとする。
「おい、汚れるからそっちへ置くんだ」
そうリュナンが指差したのは、地図の広がったままの軍議机。そこへ、自らの尿のしたるグラスを置けと言うのだ。右手が塞がっていては、地図を避けて置くことが出来ないというのに。だが主君の命は絶対だ。仕方なくそれに従い、端の方にグラスを置いた。案の定そこから、じんわりと濡れた染みが地図の上に広がってしまう。
「何という!大事な軍の資料に…!」
「この小便垂れ!!恥を知れ!!」
「ひっ!…っく………すみ、ませ……」
リュナンの命令とはいえ、居たたまれなくなったクライスの瞳に、ついに涙が浮かび上がる。

「…よし、ゲーム終了だ、クライス。片付けろ」
「ゅナ……様…っ…先に……賽を、お願、です……」
「片付けが先だ。このままでは軍議が出来ない」
クライスの懇願を、リュナンは一刀両断した。その瞬間、クライスは全てを悟ったかのように、右手の力を抜いた。もう、限界だった。

ブシュウ……ジョッ、ジョオッ……ジョロロロロ……

「はふ……ハッ……ァ……ァ…」
右手をしどどに濡らしながら、砲身から再び壊れた蛇口のように尿が放出された。直立している為、ブーツやズボンにきらきらと飛沫を跳ね飛ばしながら、今度は地面に水溜りを作っていく。
「クライス!ここは便所じゃない!それを仕舞え!!」
リュナンから発された厳しい声。
(……それは、つまり………)

「…は……ぃ………」
熱に浮かされたような声で、かろうじて返事をしたクライスは、まだ放尿を続けているペニスをつかみ、下着と共にズボンの中へ押し込んだのだ。無論、あっという間に下着はおろかズボンにまで恥ずかしい黄色い染みが浮かび、広がっていく。
股間に尿の温もりを感受しながら、クライスは先程置いたグラスに手を伸ばし、それを持って歩を進めようとした。
が、それは叶わなかった。

ガチャン!

小便の漏れる刺激に震える足を思うように動かせず、更に力の入らない指先からはつるりとグラスが滑り、あっけなくグラスは中身をぶち撒けながら転がり、地に落ち、そして砕かれた。
せっかく濡らすまいとした地図に、盛大に尿の地図が広がってしまう。
「うわあぁー!何という事だ!貴重な地図が…!!」
「この、馬鹿者!いや、痴れ者め!」
その惨状に、たまらずオイゲンがクライスの胸倉をつかみ、怒りを露わにした。
「この様な痴れ事!お主、どう責任を取るつもりだ!」
「す、すみま、せ……すみませ…ッ…グスッ……っぅ、う……」
その剣幕に、ついにクライスは嗚咽を上げ始めた。
「うっ、ううっ……ぇっ、ぐ………うわぁあっ……ぁあっ、アアアアッ、」
その間も、クライスのお漏らしはまだ止まっていない。恐怖からかそれは更に止まる勢いを知らず、もはやブーツもズボンもずぶ濡れにしていた。
幼児退行を起こしたかのように、クライスは震え、テントの中で大きな泣き声を上げ続けた。何事かと中を覗いた先程のテント番が、驚きのあまり目を白黒させる。

「オイゲン、あまり追い詰めるな。クライスが壊れてしまう」
「しかし、リュナン様…!」
「良いんだよ、クライスは僕の…知ってるだろう?コレも、遊びの一つさ。僕が仕掛けたんだ。だから、そうカッカするな、歳なんだから」
「は……。…リュナン様のその性癖は……理解し難いですがな…」
リュナンとのやり取りを経て、ようやくオイゲンはクライスを解放した。と、糸が切れた操り人形のように、クライスがその場に崩れ落ちる。
ビシャ…と足の間に出来ていた水溜りから、尿の飛沫が上がった。

「クライス、そろそろ出し切ったか?そのままでは不衛生だから、替えの服と湯を持って来させる。グラスを割ったのと地図を駄目にしたのは、夜にお仕置だ。いいね?」
「……ック……ヒック………ゆる…し…下さ………、許し……リュナ…さま……」
「大丈夫、痛い事はしない、身体はね」
リュナンの声を聞くと、クライスは嗚咽を上げながらも、そっと瞳を閉じた。
暗闇の中で、ドクドクと早鐘を打っていた心臓が、次第に収まっていく。両頬には涙の筋が光っていたが、それも次第に乾き、呼吸も整い出すと、クライスは深く息を吐いた。
辺りには、自らの蒸せ返るような尿の臭いだけが立ち込めている。
ザワザワとしたオイゲン達の喧騒も、やがて聞こえなくなっていた。

(すみません…リュナン様……すみません………)

クライスは失態を犯した自責の念に駆られながらも、ゆっくりとその場で意識を手放していった。

2012.1.23