ペレアス補完計画 会話編 - 第1部 暁の巫女 -

■5章 王の血脈

[クリア後]
(暗転→屋内)
(イズカ、ペレアス、ミカヤ、サザ)
イズカ「よいか! このお方こそが正統なるデイン王家の血を引くペレアス王子その人であられるぞ。」
(ペレアス消え、アムリタ登場)
イズカ「そしてこちらが先王アシュナード様の御后アムリタ様である。皆の者、頭が高い!ひざまずくのだ!」
(アムリタ消え、ペレアス登場)
ペレアス「いいよイズカ。みんなそんなに、かしこまらないでくれ。」
(イズカ消える)
ペレアス「僕は、つい最近まで自分が王子であることさえ知らずにきたから、こういうのに慣れてなくてね。」
ミカヤ「え…?」
ペレアス「僕は、半年前…このイズカが迎えに来るまでは、ただの平民として育ったんだ。正直なところ、いまでも実感はないな。自分が、あの…偉大なアシュナード王の実子だなんて。」
(アムリタ現れる)
アムリタ「なにを言うの!…ペレアスはわたくしの可愛い可愛い子……もう2度とわたくしの側から離さないわ……」
(アムリタ消え、イズカ再登場)
イズカ「ウオホン!それでは本題に移りますかな。では、【暁の団】のミカヤよ。…おまえをデイン解放軍の副大将に任命する!」
サザ「…いきなり、どういうことだ?」
ミカヤ「ち、ちょっと待ってください!突然そんなことを言われても…困ります。戦いの知識も経験もまったく持たないわたしに…そんな大役、務まるわけがありません!」
イズカ「おまえたち【暁の団】はデインの民衆を救いたいのだろう!?王子に仕えれば、帝国に対し堂々と戦うことができるのだぞ。何を躊躇することがある?」
サザ「……あんたらの魂胆は見えたぞ。要するに、ミカヤを都合のいいお飾りにしようってわけだな?」
イズカ「んん?それに何か問題でもあるのか?」
サザ「俺はミカヤが見世物扱いされるのはごめんだ。あんたらのやり方には…賛同できない。」
ミカヤ「(目を瞑る)………」
ペレアス「待ってくれ、ミカヤ…!そんなつもりじゃないんだ。それに、戦いに不慣れだという点では、僕だって同じだ。だけど…僕が動かなければデインはこのままなんだ。だから…勇気をだした。お願いだ、ミカヤ……デインの未来のために君の力を貸してくれないか?」
ミカヤ「……………………………………わかりました。」
サザ「ミカヤ!?」
ペレアス「ありがとう。」
ミカヤ「そのかわり…必ず、帝国の手からデインを解放してくださいますね?」
ペレアス「わかった、約束する。」
ミカヤ「そのお言葉を信じます。」
(暗転→屋外)
(ミカヤとサザ)
サザ「……」
ミカヤ「…サザ、怒ってるの?わたしが副大将の任を受けたのがそんなに気に入らない?」
サザ「当たり前だろう。俺たちには、表の世界では生きられない事情かある。それなのに…こんな目立つことをしようなんてミカヤらしくない。」
ミカヤ「離れている間に…サザが変わったようにわたしにも心境の変化かあったの。(目を瞑る)わたしは……心の底からデインを守りたい。デインのこの現状を…変えたい。」
サザ「自分の身を危険にさらし心を犠牲にしていいほどに?」
ミカヤ「(目を開ける)ええ。それに、わたしには感じられるの……ペレアス王子もわたしと同じ想いを持っている… 心からデインを救いたいと願っているあの人といっしょになら…デインを救えると感じた。」
サザ「………危険を知らせる例の声は聞こえないんだな?」
ミカヤ「だいじょうぶ。この先に見えるイメージは…(目を瞑る)ほとんどが希望に輝いている。」
サザ「…分かった。俺はミカヤを信じる。これ以上は反対しない。でも、最後に1つだけ。」
ミカヤ「なに?」
サザ「俺がミカヤを護る。」
ミカヤ「どうしたの、改まって?」
サザ「別に。ただ言っておきたかった。」
(サザ消える)
ミカヤ「……ありがとう、サザ。」

■6章 掲げよ旗を

[章開始時]
(デイン解放軍陣営)
(ペレアス、イズカ、タウロニオ、ジル、ミカヤ、サザ、ツイハーク)
イズカ「ウオホン!さて…そろそろ私の流した噂がデイン王国中に浸透してきた頃合いだ。『亡きデイン王の遺児現る!』『ペレアス王子の傍らには【銀の髪の乙女】の姿あり!』 次に必要なのは、アピールだ。初陣を華々しい勝利で飾り、待ち望んだ救世主の力を民衆に見せつけ、反乱を促すのだ!」
サザ「だが、今の俺たちの兵力で、そんな反乱を喚起するような大勝利を収めることができるのか?」
イズカ「私はお前のような無思慮な若者とは頭の構造が違うのだよ!」 (イズカ、ペレアスの方を向く→戻る)
イズカ「ご安心ください、王子。すでに綿密な調査の上、狙うべき駐屯地を選び抜いてあります!諸君もこれを見るのだ!」
(地図)
イズカ「…これらの場所ならば、現在の解放軍の戦力でも確実に勝てると断言する!」
ペレアス「さすがだね、イズカ。君は本当に頼りになるよ。」
イズカ「最初の狙いは、……ダルレカだ!辺境ゆえに駐屯軍の監視がゆるく、反ベグニオンの気風が強い。」
ミカヤ「……いいえ、ダルレカはだめです。」
(画面戻る)
イズカ「な、なんだと!?この…小娘が、なにを根拠にそのようなことを言うのだ!?」
ミカヤ「時期が…よくありません。雨が原因で、戦うどころか進軍すらままならないでしょう。」
ジル「! 確かに初夏のこの時期、私の故郷のダルレカでは土砂災害が頻発します。特にこの収容所に続く三道は危険です。」
イズカ「な、なにぃ…!?わ、私の完璧な作戦に穴があるはずなどそんなはずは……ぶつぶつ……」
サザ「……ミカヤは、どこを攻めるべきだと思う?」
ミカヤ「…………テュリンに…もっとも可能性を感じます。」
(地図)
タウロニオ「なるほど……同じ山地であってもテュリンなら北の乾燥地帯で天候は安定している。」
ペレアス「すごいな、ミカヤは…… 君が解放軍の副大将になってくれて本当によかった。 心強いよ。」
(画面戻る)
ジル「……ミカヤ殿、ダルレカの土砂崩れのことよくご存知でしたね?いらっしゃったことがあるんですか?」
サザ「ミカヤは強力な占い師なんだ。【暁の団】が駐屯軍から逃げきれたのも、その力のおかげだ。」
イズカ「む、むむむむむむむむぅ〜〜〜」
ペレアス「イ、イズカ…?いったいどうしたんだ?」
イズカ「素晴らしい!!敵の行方を占う神秘の力!なぜ、それをもっと早く言わぬのだ。乙女のカリスマ性がこれでますます高まるではないか!!それにしても、驚嘆すべきは乙女を副大将にすえたこの私の先見の明だ!まさに天才というべきほかはないな!」
サザ「………」
イズカ「よし。では、乙女の占いに従い、渓谷を抜けてテュリンを目指すぞ!」

■7章 集いし希望

[拠点]
ペレアス「…突然、呼び出したりしてすまない。」
ミカヤ「いえ……」
ペレアス「お茶でも入れようか。なにがいい?」
ミカヤ「結構です。それより、ご用件は?」
すごい即答。そしてお茶汲みしてくれる王子を想像してニヤニヤした
ペレアス「……やっぱり、怒ってるんだね。僕のことを。」
ミカヤ「………どうして、軍議に出られないんですか?」
ペレアス「それは、イズカが……」
ミカヤ「この軍の大将は、あなたです。それを人任せにするなんて……」
ペレアス「………ごめん。イズカにもう一度頼んでみるよ。軍議に参加させてもらえるよう……
ミカヤ「なぜ、あの人の許可が?あなたは王子でしょう?」
ペレアス「うん、だけど……何も知らなかった僕に、王族としての持っておくべき知識、立ち振る舞いや礼儀作法をいちから教えてくれたのはイズカだ。タウロニオやデインの遺臣と連絡を取ってくれたのも彼だ。イズカがいなければ、僕は挙兵なんかできなかった。母上にもお会いできなかった。」
ミカヤ「王子は……ずっと孤独だったんですね?
ペレアス「え…」
なにこのいじめられっこ。人に優しくしてもらったことがあんまりないんだろうなぁ…とミカヤでなくとも分かる物言いです。
だからイズカなんて怪しさMAXな奴にすら騙されるんだよ。不憫な……
ミカヤ「イズカ殿は王子に母と居場所と…生きる意味を与えてくれた人。だから心から感謝している。なるべく意向を叶えようとする。」
ペレアス「ミカヤ、君は……」
ミカヤ「……ご、ごめんなさい。わたしいま勝手に…………」
ペレアス「すごいよ!
ミカヤ「!?」
ペレアス「本当に君は占い師なんだね。そんなことまで分かるなんてとても驚いたよ!」
ミカヤ「………」
ペレアス「ごめん、興奮しすぎた。なんだか汗まで出てきたよ。」
ものすごくかわいい。とても20才前後には見えないはしゃぎっぷり。
ミカヤ「! 王子…」
ペレアス「どうしたんだい、そんなびっくりした顔をして。」
ミカヤ「……その"印"は?」
ペレアス「あ… 見つかったか。」
ミカヤ「それはいったい……」
ペレアス「【精霊の護符】だ。魔道の源は大自然を司る精霊の力。精霊と契約し、体内に取り込むとこんな"印"が体に現われる。
ミカヤ「………」
ペレの印補足:印は額にある・13歳の時に自分で闇精と契約して付けた・セネリオのものと酷似
ペレアス「なんて… こんな説明するまでもないよね。君にもあるんだし。
ミカヤ「え!?」
ペレアス「この間、手を洗っているミカヤを見かけて…声をかけようと近づいたら見えてしまったんだ、右の手の甲にある"印"が。」
ミカヤ「……」
ストーカー発覚。ミカヤはさぞかし驚いたことでしょう
ペレアス「すぐに打ち明けようと思ったけど母上に呼ばれて…その後もなかなか機会がなくて。」
ミカヤ「わたしのこれも…【精霊の護符】なんでしょうか?」
ペレアス「え!? 自分で契約したわけじゃないのかい?」
ミカヤ「ええ…」
ペレアス「じゃあ、あれかな。精霊のほうからの契約なんだね。」
ミカヤ「?」
ペレアス「ごく稀に生まれたばかりの赤ん坊に起きる現象らしいよ。優れた魔道の才を持つ子に限られるらしいから……やっぱりすごいな、君は。」
ミカヤ「………」
しかし真意は定かではない……。印付き隠蔽のためにあえて流したデマのような気がするなぁ。
ペレアス「でも、このことはここだけの秘密にしておこう。【印付き】に間違われるとやっかいだからね。」
ミカヤ「『しるしつき』とは…?」
ペレアス「よくは知らないけどベオクなのにラグズの血が混ざっている者のことらしい。信じられない話だと思わないか?あの半獣の血が…なんて。同じような"印"があるからときどき勘違いされてひどい目にあったんだ……
ミカヤ「………」
ペレアス「ミカヤ?」
ミカヤ「あ、その…イズカ殿のことと…"印"のこと分かりました。」
ペレアス「うん、話せて良かったよ。これからもよろしく頼む。」
ミカヤ「はい。」
いったいどんな酷い目にあったのかは妄想に任せるとして(ヲイ)
とにかくペレはラグズ=半獣への差別意識丸出しなのがポイントです。ベオクとラグズが交わるなんて信じられない次元の話なのです。
聞いてるミカヤは超複雑ですが、ペレがミカヤが印付きって知った時の反応を思うとおいしすぎると思いませんかグヘヘ>外道め
ペレアス「あ、そうそう。忘れるところだった。これを渡したくて呼んだんだ。」
ミカヤ「なんですか?」
ペレアス「素晴らしい剣を手に入れたんだ。これがあればきっと優位に戦えるはずだ。君から、これと思う人物に渡してくれ。」
ミカヤ「王子がご自分でなさればいいのに。」
ペレアス「功績への褒章でもないのに僕からだと、渡した相手を寵遇していると周囲に思われかねない。統治者として好ましくない行為だ。……って、イズカが言うんだ。だから君から。」
ミカヤ「分かりました。王子も気苦労が絶えませんね。」
ペレアス「本当に。貧しかったけど気楽だった毎日が少し懐かしい。
気楽に暮らすペレアスが想像できません。実際どんな生活だったんだろう。
ミカヤ「王子……」
ペレアス「でも、僕は頑張るよ。デイン解放を…きっと実現させる。」
ミカヤ「はい!」

[クリア後] (天幕前・ペレアス、イズカ、サザ、ミカヤ)
イズカ「お、おい!サザ!先程の彼らは、何処の何者なんだ!?我が解放軍に加わってくれるのか!?」
サザ「…彼らは、ベグニオンから来た、俺の個人的な知り合いだ。確かにかなりの手練れだが…いいのか?これ以上ラグズが軍に加わるとなると、かなりの反発が起こるぞ。オルグたちがラグズだということは、何とか隠しているが…これ以上増えれば、隠しきれないだろう。」
イズカ「そのような反発、罰を与えて黙らせようではないか。ラグズの高い戦闘能力は、駒として、今の解放軍に必要なのだ!ぜひ、ぜひ仲間に引き込んでくれ!」
サザ「あいつら、気のいい奴らだからこちらがそう望めば手を貸してくれるだろうけど…それを決めるのは、あんたじゃなくて王子じゃないのか?」
イズカ「…いいか、サザ。私の言葉は王子の言葉も同然と心得るがいい。(ペレアスの方を向く)…そうですな、王子。」
ペレアス「あ、ああ…そうだね。イズカの思うようにするといい。」
サザ「……」
イズカ「さぁ、わかったら早く話をつけてきてくれ。くれぐれもしくじらんようにな。」

■8章 望まぬ英名

[章開始時]
(ペレアス、タウロニオ)
ペレアス「ジョド収容所の捕虜がシフ沼に集められ処刑されている……?」
タウロニオ「ジョドだけではありません。この近辺の収容所の捕虜をすべて、沼に沈めるという計画のようです。」
(イズカ現れる)
イズカ「そのような情報、私は聞いていない!虚報だ! でなければ敵の罠だ!!」
(タウロニオ消え、ミカヤ現れる)
ミカヤ「……罠かもしれません。でも、わたしたちが行かなければ、きっと彼らは殺されてしまいます…!」
イズカ「今ここで解放軍が敗れ去りでもすれば……デイン復興の夢はその刹那にあえなく断たれてしまう!!デインの未来のため、彼らにはあきらめてもらうしかないのだ!」
ミカヤ「……わかりました。では、この軍の兵は連れていきません。わたしと…元の仲間だけで向かいます。」
ペレアス「ミ、ミカヤ……!」
ミカヤ「それが許されないのなら、わたしひとりでも行きます。」
(ミカヤ消える)
イズカ「待てっ! 待つんだ!!勝手なことは許さんぞ!」
(ペレアス右に移動)
ペレアス「イズカ……!彼女を行かせてやってくれ。(目を瞑る)頼む。このとおりだ。」
イズカ「王子…くっ……!」

[クリア後]
(ペレアス、イズカ、ミカヤ、サザ、トパック)
ペレアス「"なりそこない"…?」
サザ「3年前の戦いで…デイン軍によって造りだされた生物兵器―― おぞましい生体実験によって姿を歪められたラグズのことだ。」
イズカ「おぞましいだと!?おまえたちは、この私のすばらしき研究成果を否定する気か!?」
ミカヤ「じゃあ、認めるんですね?ムワリムさんに"なりそこない"の薬をこっそり飲ませたことを。」
イズカ「それの何が悪いと言うのか!常に化身して高い戦闘能力を発揮できる…すばらしいではないか!」
トパック「…ふざけんなっ!!"なりそこない"は化身しっぱなしの代償に命を削る……自我が破壊され、狂ったまま死ぬまで戦い続けるんだ!おまえは、そんな薬をムワリムに……っ!」
イズカ「駒となって動く兵士に自我などいらん!それに、戦に勝つためには、兵士の命など犠牲にして当然であろう!」
ミカヤ「あなたという人は――!」
ペレアス「待ってくれ!イズカが半じゅ…ラグズの彼に、ひどいことをしたのは分かった。悪かったと思う。トパック…本当にすまなかった。"なりそこない"の薬は2度と使わせない。だから…、どうか許してくれないか………このとおりだ。」
(ペレアス目を瞑って頭を下げる)
ミカヤ「ペレアス王子……」
イズカ「王子!?王族がこやつごときに頭を下げるなどあっては……!!」
トパック「…………(目を瞑る)もういい。」
(トパック走り去る)
サザ「トパック…!」
ミカヤ「……」

■9章 闇よりの生還者

[章開始時]
(解放軍陣営)
イズカ「ウオホン!皆、静まれ!!これよりペレアス王子からお言葉がある。……王子、どうぞ」
デイン兵「うおー、すげぇ。うまそう!何から食べようかなあ……」
ペレアス「みんな、これまでよくやってくれたね。神使の視察団が来れば、デインは駐屯軍の圧制から解放される!ちょっと早いけど、今夜は勝利の祝賀会だ。酒も料理も心ゆくまで楽しんでくれ。」
(歓声が上がる) [拠点]
(ペレアス現れる)
ペレアス「サザ、君が1人だなんてめずらしいね。」
サザ「…ペレアス王子。ミカヤに用でも?」
ペレアス「うん。そのつもりだったけど…彼女は人気者だからね。ずっと兵士たちに囲まれていて近づけなくって。
サザ「自軍の兵に遠慮してどうするんだ。
サザよ、そのつっこみは正しい。
ペレアスの返事の仕方は「ああ」でも「ええ」でも「はい」でもなく「うん」。テラカワユス
ペレアス「でも、僕はお飾りだから。デインの旗印として、存在してさえいればいい。でも、【暁の巫女】は違う。みんな彼女のためになら喜んで命を賭ける。」
サザ「あんた……
王子にあんた呼ばわりするサザは相当呆れたのか発言に驚いて素が出たのかどっちだろう。
開き直ってるペレアスが痛々しい。
ペレアス「あ… 別に嫉妬してるとかそういうんじゃないんだ!ただ少し……羨ましいだけで。」
サザ「………」
あれ?訛ってる?口語表現なだけか?何にせよかわいい
ペレアス「そうだ、これ。軍資金を君に渡しておくよ。」
サザ「……大金ですね。戦争は終わったのに?」
そして敬語に戻るサザ。
ペレアス「うん、だからさ。このお金は特別報酬として兵たちに配ってくれてもいい。なにもできない王子だけど……みんなの働きにはどんな形であれ報いたいから。じゃあ、頼んだよ。」
(ペレアス消える)
サザ「王子…!……不器用な人だな。」
最後も"王子"って言ってるし。
あと不器用度レベルはサザもどっこいどっこいだと思う。

■終章 デイン復活

[章開始時]
(デイン城下町 ネヴァサ)
デイン兵「俺たちの街が…ネヴァサが壊されていく…!」
デイン兵「やめろ! あそこにはおれの年老いた両親がいるんだぞ!?」
デイン兵「おれの子供もだ。ジェルドめ…最後の最後までデインを苦しめぬくつもりか!」
(天幕の中・ペレアス、ミカヤ)
ミカヤ「…ペレアス王子!このまま放ってはおけません。街に入って市民を助けましょう!」
(イズカ現れる)
イズカ「何をまた馬鹿なことを言うのだ!じきに神使の視察団が到着するのだぞ!?わざわざ危険を冒す必要などない!」
サザ「だが、その間にも死んでいく民はいる。ネヴァサは破壊されていく。それを黙って見ていろというのか!?」
ミカヤ「…では……また、わたしたちだけでも…」
(ミカヤ消える)
イズカ「待て!どこへ行く!?おまえはまたラグズたちを率いて出撃するつもりではあるまいな!」
ミカヤ「いけませんか?」
イズカ「いけない?いけないに決まっているだろう。おまえは以前にも王子の命に背き、勝手な行動をとった!その結果どうなった!?…おまえは自分の名をこれでもかというほど上げた。……自分ひとりの名をな!兵たちを見てみろ!誰もがお前を救世主だと祭り上げ、もはや誰も王子を見ておらんではないか!!」
ミカヤ「あ……」
(回想シーン)
ジェルド「ははっ 王子か!あれはみずから光を放つことのないまがいものの石くれだ。民を惹きつけてやまぬ輝き、人を支配する力をもった宝石はおまえだ、【暁の巫女】。だから俺はおまえを奪う。デインという国から希望の光を奪ってやるのさ!!」
(回想終了)
イズカ「このままでは王子が王となったとしても、全て【暁の巫女】の声を通さねば民衆は聞く耳を持たぬことだろう。いや、下手をすると【暁の巫女】を王位に据えろという不心得なやからまで現われるやもしれん。そんなことになれば、国はまた荒れる。いつまでたってもデインに安定など訪れはせんのだ!」
ペレアス「(目を瞑る)……」 (ペレアス消える)
イズカ「…ひょっとしておまえは、最初からそのつもりで行動していたのではないか?王子を助ける振りをして、実は王位簒奪を狙って……」
サザ「貴様っ…言わせておけば……!」
???「いい加減にしろっ!!」
(暗転・ペレアス)
ペレアス「ミカヤは…そんな娘じゃない。僕がふがいないからといって……彼女を責めるのはやめてくれ。」
(イズカ、ミカヤ現れる)
イズカ「なっ… いきなりどうされたのです王子!?」
ペレアス「これまで先頭に立って戦ってきたのはミカヤだ。…僕にはできなかった。みんながミカヤに注目し、ミカヤを慕うのは当然のことじゃないか。だけど、今のままではいけない。このままでは、僕が王位に就いても誰も見向きもしてくれないだろう。だから……だから、僕は行動する。」
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ペレアス「……………か、解放軍の兵士諸君っ!ぼ…いや、私はデイン王子…ペレアスだ!」
デイン兵「もちろん、知ってますよー!ペレアス王子さまぁっ!」
(笑い声)
ペレアス「あ… (目を瞑る)…… ……………」
デイン兵「どうしたんだ、あれ?大丈夫か?」
ミカヤ「…あ…あの…!」
(駆け寄ろうとするミカヤを遮って漆黒の騎士がペレアスの背後に立つ)
ミカヤ「騎士様……?」
(漆黒の騎士が剣を地面に突き刺す)
(慌てて兵士たちがペレアスの方を向き直る)
ペレアス「(目を開ける)………… …………?」
(顔を上げるペレアス)
ペレアス「………親愛なる解放軍の諸君!君たちの尽力あって、我々はいま、王都を目前にしている。このまま何をしなくとも……帝国の視察団が到着すれば、我々は再び国を取り戻すことができるだろう。今ここで、駐屯軍に手を出せば……再び帝国との関係にわだかまりが生じるかもしれない。そうすれば…デインの復興は難しくなる可能性だってある。だけど…だけど、今この瞬間も、我々のネヴァサは蹂躙されている!同胞たちの命が奪われているんだ!ぼく…いや、わた…いや、もう僕でいい!やはり僕は、目の前の惨事をこのまま見過ごせない!1人でも多く、デインの民を救いたい…!だから力を……みんなの力を貸してもらえないか!?」
(デイン兵士歩み寄る)
デイン兵「……ばんざい…」
(歓声が上がる)
デイン兵「ペレアス王子、ばんざい!」
デイン兵「デインばんざい!救おう!我々の仲間を!!我々自身の手で!」
ペレアス「あ…」
(漆黒の騎士立ち去り、ミカヤとサザが顔を見合わせる)

[出撃直前]
ミカヤ「では、王子… いってまいります。」
ペレアス「後方には僕の軍も控えている。くれぐれも無理はしないでくれ。」
(ミカヤ、兵士たちの方を向く)
ミカヤ「全軍整列!目標は市民の救出、及び王城奪還!いざ、出撃!!」