Feathers connect with..
「……震えてるな」
ペレアスと身体を合わせるのは初めてではない。これが二度目――。
夜半過ぎにペレアスの天幕に姿を見せたティバーンは、出迎えた藍色の影を認めるなり口付けをして、細くしなる腰に手を回すと奥に据えられている簡易な寝台へ押し込むように身を横たえた。
幾重にも重なった衣服を取り去りながら、露出した白い肌に熱を与えるよう、抱き締め、吸い、舐める。
しかしベグニオン領内に入り帝都に近づいたとはいえ外気は冬の様相を残し、日の落ちた天幕をすっかり冷やしていたせいか、ティバーンが離れたところの素肌はまたすぐに寒さで強張っていく。寝台横に置いた蝋燭の仄かな灯りの中、ようやく目が暗さに慣れた頃、ペレアスは寝台の上で一糸纏わぬ身体を抱えるように丸めて横たわっていた。
冷えた皮膚の上に、同じく裸になったティバーンが覆い被さる。その身体の熱さに驚いたように、は…と正面から抱きすくめられたペレアスが腕の中で息を吐いた。
ドク、ドク、と互いに合わさった皮膚の下から心臓の音が聴こえる。
ティバーンの下で所在無げだったペレアスはその規則的な音色にじっと耳を傾けると、己を抱いている大きな体躯にそっと手を這わせた。
肩回りから背中にかけて張りのある感触に、似つかわしくないふわふわとした物が指先に触れる。翼だ。
ティバーンの背中全体を覆っている大きな翼……鷹のものであるそれに直に触れたのは、初めてだった。
街中や軒先で見かける小さな鳥の羽根ですら、触ったことはないのに。
「あ……」
ふと悪いことをしたのではと感じたペレアスは背中に回した手を引っ込めると、ティバーンの表情を伺った。
「どうした…?」
「………。ええ、と…、その、翼に…手が、触れても良いのか…分からなくて」
「翼?触りたきゃ触れよ」
そら、とティバーンはまるで後ろ手を伸ばすように翼をはためかせ、その羽根先をペレアスへと向けた。
やや緑がかった鳶色の羽毛の先端が数枚、頬をくすぐり、ペレアスはあっと声を上げる。
「俺もおまえに好きに触れるからな」
そう言うと、細っこい首筋へ噛み付くようなキスをして、そのまま鎖骨の窪みまでジュルジュルと舐め、吸い上げる。それだけで、薄い皮膚は小さな赤色を散らした。「はっ…、…あ…!」と息を飲むようなか細い悲鳴がティバーンの尖った耳を擽る。
その反応を愉しみつつ、鎖骨から下、少し骨の浮いた胸の中心、ティバーンからしたらほぼ無いに等しいくらいの薄い筋肉が張った胸板を味見するように舌で舐め、食んでゆく。
「あッ…、ぁ……」
胸部のうち一番目立つ薄紅色をした突起――その小さな乳首も、ティバーンは勿論見逃すつもりはなかった。が、いきなり他の部分の皮膚のようにきつく吸い上げたりはせず、舌先で掠める程度に扱って、反対側は指の腹でゆっくりと押し上げる。
――そこで、一度動きを止めた金色に光る瞳が、じっと睨むようにペレアスの顔を見据えた。
最初に押し倒したときよりやや頬に赤みが差してはいたが、黒目がちな瞳はまだ警戒心を解いてはいないとばかりに、遠慮がちにティバーンを映していた。
バサ、とティバーンが背中の羽根をわざと大きく羽ばたかせると、分かりやすくびくりと身体を竦め、見開いた瞳が鷹王に向けられる。
「……俺が怖いか?」
「ッ……いえ………」
「嘘つけ」
「あ………、……」
「俺のような半獣に犯されるのが……まだ、怖いんだろう」
図星を言われて、ペレアスは困ったように眉を下げて、口を噤んだ。
「…このままおまえを無理に抱いて、食らいつくしてやることも出来る――。だが、それだとあいつらと何も変わらねぇ」
あいつら――ペレアスがこの前吐露した元老院の下衆共――がこの目の前の気弱な青年に加えた性加害は、一朝一夕で塗り替えられるような物ではないだろう。前に一度ティバーンと性交を結んだことすら、最早何の意味も為していない。ただ、上滑りした快楽に引き込むだけでは――変わらない。
だからこそ、今のペレアスは鷹王にとっての最上の獲物でもあった。
「……まだ…僕はあなたの事を……よく分かってない、から…」
「俺もおまえの考えてる事なんざ、よくは知らんぞ」
「いえ、あの…違う、から……」
絞り出すように話すペレアスは、しかしじっとティバーンの翼を見ていた。何よりも雄弁なその視線に、ティバーンはクッ、と嗤う。
「いかにもニンゲンだな、てめえの…デインの奴らの考えは…反吐が出る」
「っ……!」
「違うから何だ?この翼が気に入らねえのか?ああ?俺よりそこらのニンゲンとつがう方が良いのか?」
「そ、そうじゃない……!僕は….あなた、が」
そこまで言って、ペレアスの瞳からポロ、と涙が伝った。
ぼろぼろと止め処なく溢れ出したそれを白い手の甲で拭いながら、顔を覆ってしゃくり上げ始める。
「俺が何だよ――言えよ、言ってみろ」
「――――ぅ、…っ……ひっ……、ぅ…」
「泣くな、息を吸え、そんなザマで今更俺から逃げられると思ってんのか」
「ッ…、ぅ、ふぅ……、……あ、…ぅ…、…」
ペレアスはティバーンの言う通り大きく息を吸い、何かを訴えようと口を開けたが、上手く言葉にできないのかはくはくと喉を鳴らすだけだった。
「世話の焼ける…」
まるで水中で酸素を求め苦しげに顔を歪めているペレアスを、後頭部に手を伸ばしてくしゃくしゃの髪をひと掴みにすると、胸元に引き寄せる。
「はぅ、う……、…」
「落ち着け、俺にだけ聞こえれば良い……」
先程よりぐっとトーンを落とした吐息混じりの声でティバーンが促すと、ようやくペレアスはぽつりぽつりと言葉らしきものを発していく。
「……ぼ、く……は…、ッ……ぁ……すき、…、ティ、……が…、…」
「ほう」
「…………言え、な、……、っく…ちゃん、と……言えなく、て……すみ、ま、せ」
また嗚咽を上げて震えるペレアスの唇に、ティバーンはもういいとばかりに口付けを落とす。
「…ふ、ゥッ……ン…、ン…」
皮膚表面の冷たさからは考えられないぐらい熱いペレアスの舌を絡め捕って、角度を変えて吸い上げる。
「…なら俺にこうされるのは?良いのか?悪いのか?」
「、い、ぃ……」
「訊き方が悪かったな…好きなのか?それとも嫌か?」
「ッ、……す、き……」
「その調子だ、――――認めろよ、俺に触れられるのが好きだと」
「好き、…、す……っ、ティバーン……、」
「名前が言えたな、いいぜ」
まるで幼子に語りかけるようにティバーンは囁くと、ペレアスの頭を撫でた。
「あっ….……」
ペレアスは一瞬びくりと身を強張らせたが、ティバーンの手に撫でられる心地よさから、そっと目を臥せた。
「ぅ……、……ッ………」
「何だ?また泣いてんのか」
「ちが……、これ、は……嬉し、…から……」
頭を撫でられて嬉しい、と泣きながら訴えてくるペレアスに、どうにも例えがたい感情が沸き立ってくる。
庇護欲とでも言うのだろうか。この不幸なベオクを、甘やかして、もういらないと言うまでキスをして、抱いて…。
「ハァ……堪んねえな……」
「?………ふぁ、」
くりくりと先程放ったらかしたままだった両乳首を押し潰すように弄ってやると、ペレアスは驚いて喉を鳴らした。
胸への刺激もそこそこに、次は薄い腹をついと撫でながら、下腹部へ狙いをつける。臍から下、申し訳程度に生えた産毛のような陰毛をざりと擦って、ペレアスの身体の中心を取り上げる。
「ッ…!あぁ…!」
咄嗟に何をされるのか察したペレアスが身を捩ったが、その程度で鷹王の手から逃れられるはずもなく、握り込まれたペニスを上下に擦られ始めていた。
「ぁ、ンッ……ぁあ…、ァ……」
「そら、もう一辺、気分出せよ…」
「は、ぅ…、……ッ!…ァン…、…ん、ぅ」
「声抑えんな……前に言っただろ?素直に、感じて……口にしろ」
「ッン……!ン…、ッ、ンンッ…!は、ゃ…ぅ、アッ、ンッ、ンッ、…!」
ガクガクとペレアスの内腿が痙攣し始める。性急ではあったが、こちらももう我慢ならないとティバーンは手を弛めず、責め立てた。
と、程なく手の中に包まれたペレアスの陰茎の先からドロリとしたものが押し出されるように溢れ、僅かな指の隙間から飛び散った。
ペレアスの腰が陸に上がった鮮魚のように跳ね、涙混じりの嬌声が天幕に響くので、快楽から解放してやる。
「ハァッ…ハァッ……、…ハァッ…、ハァ……」
初めて言葉を交わした時のように、瞳を伏せて息も絶え絶えに喘ぐペレアスとこんな関係になるとは、よもや女神も知るところではないと鷹王は憶測する。
薄い胸を上下に動かし、ついに熱を持った白い皮膚の、汗ばんだ髪の隙間からペレアスの印がちらりと覗いている。身を包む負の気が高まっているのを心地よく思いながら、先程垂れ落ちたペレアスの白濁した残滓を己の脈打つ赤い肉に塗りつける。
ふぅ……と息をつき、無防備に横たわる獲物に再び手を伸ばす。
「ハァ……、ァ…、……ッ!」
ぐに、と薄い尻の肉をかき分けて赤い内壁が蠢く窪みを露出させると、粘り気を持たせた唾をそこに向かって吐き、薬指で塗りつける。
襞の隙間にたっぷりと馴染ませ、まだ少し硬いそこを円を描くように揉んでいると、くぷ、と指先が襞の中に沈んだ。
入ってしまえば、中の方が柔らかい。
「あぅ……ッ…!ぁ、…ッ……ぅ」
薬指と言えど細くはないティバーンの骨張った指が入ってくるのを感じ、ペレアスは再び腰を浮かせた。恥骨の方に引き寄せるように内腿を締めると、鷹王の指が奥に呑まれていく。
後ろを犯される時の染み付いた反応に、ペレアスは絶望しながらもティバーンの指を食んで呑み込む感触に身を震わせていた。
「もう一本……、力抜け」
「ふぅっ………ふぅ……ンッ…」
追加した中指も、あっさりと咥え込んで第二関節まで肉の中に沈む。
グチュ、ヌチュ、と水気の多い音がし始めるのは、ティバーンがペレアスの良いところを探るように指を動かし始めた為だ。
「ハァッ…ハァッ、ァア……アッ、ハンッ…!…ハンッ…」
喘ぐ声が分かりやすく変化する場所があるのに気付くのは造作もなかった。
感じる事に"慣らされて"きたペレアスの弱いところを重点的に刺激していると、またヒクヒクと内腿が痙攣し出し、すっかり上向いたペニスの先端からは透明な滴が糸を引いて腹に伝い、シーツにまで滴り落ちていく。
生物学的にこの場にいるのは確かに雄だが、快楽への反応はティバーンの知る雌と大差ない…どころかそれ以上に感じやすく思えた。
「三本目だ…そら、まだイクんじゃねぇぞ」
「はぅ、はんっ、ハンッ……あぅ、ぅ……ァ……」
ティバーンの指を咥えた襞が、時折きゅう、と締め上げては、もっと奥へ誘うように絡み、うねる。
三本とも根本まですっぽり埋まったのを確認して、すぐにでも入りたいと思わせる程度にはなったとティバーンはペロリと上唇を舐めた。
「アッ……、」
ずるりとアナルから指が抜かれて、少しぽっかりと赤い粘膜が見えているそこに、指とは比べ物にならないぐらいの熱と質量を持った切先があてがわれる。
「………!!」
両足を抱え上げるように割り開かれ、その足の間でティバーンが不敵な顔をしてペレアスを見ていた。
バサ、と興奮を示すように大きく伸びた翼が天幕の風を切り、その風圧がペレアスの頬を擽る。ドクン、とペレアスの鼓動が大きく胸を打った。
これから犯される――――その記憶が、目の前のティバーンをすり抜ける。
「……震えてるな」
「………。」
「……ハッ……。…………やめとくか…?」
ティバーンから出たのはペレアスにとって意外すぎる言葉だった。
絶対にこのまま有無を言わさず犯される、足の間で今まさに脈打っている凶器で――腹の中をめちゃくちゃにされる。女神の使徒という彼らに許されるまで、何度も、何度も――。
どす黒い記憶がぐるぐると頭を巡り、目の前のティバーンの言った言葉の意味を考えられない。
恐怖の塊に押し潰されそうな不安に包まれ、どうしようもなくなる。
「また泣いてんのか、……分かった、止めだな」
「……まっ、て、………まっ、………」
グスグスと鼻を鳴らしながら、ペレアスが何かを訴えようとしている。
「ちが、ぅ………違う………、ティバーン………」
「何だ…?やっぱり嫌なんだろう」
「ぃや、じゃ…な………、のに、……ふるえ、て」
「………身体は正直なもんだろうが」
今夜は駄目ってことだろ、とティバーンはペレアスの両足をそっとシーツに下ろすと、大きく息を吐き出す。
そうやって無理矢理に興奮を静めようとしているのだとペレアスが気付くと、せっかく自らの天幕まで人目を忍んで来てくれたティバーンへの申し訳なさに消えたくなる。
「ぁ……じゃあ……、」
そっと上体を起こすと、鷹王の脚に手を伸ばす。
「何だ」
「く、口で……」
ペレアスの言葉にティバーンは内心動揺したが、ほう、とペレアスのやりたいように任せることにした。
青い巻き毛が腹の下に俯き、まだ角度を保っている鷹王の肉へ舌を伸ばす。
先端を飴を舐めるようになぶる程度かと思ったそれは誤算で、ペレアスの口淫は巧みであった。
舌を器用に巻き込むようにしながら雁首を吸い、裏スジに密着させて舐め、かと思えば全体を口内に納めて大きくストロークする。
「ハァッ……やるじゃねえか」
鷹王の言葉を嬉しく思ったのか、ペレアスはティバーンのペニスを頬張ったまま上目でそれに応える。
赤黒く脈打つ子供の腕くらいありそうな長さのそれをぐぽ、と根本深くまで喉奥を広げるようにして埋め、えずかないように緩急をつけて抜挿する。左手をやわやわと袋に添えて、射精しやすいように持ち上げ…。
「ッ、く、………ハッ……!いいぜ…!ッグ…!」
思わずティバーンはペレアスの癖毛に手を伸ばし、側頭部をペレアスの動きに合わせて引き寄せる。
「ング……!」とペレアスが苦し気に喉奥を震わせるのすら、射精欲に繋がった。
こんなものを育て上げるとは――と、一瞬過った感情を思い、薄ら笑う。
良心の呵責と、支配欲とがせめぐ。なんて感情を押し付けてくるのかと、ティバーンは手に力を込めると下腹部に吸い付くペレアスを強引に引き剥がした。
ゲホッ、と噎せるペレアスを、高まった愉悦と苛立ちで整わない呼吸のまま一瞥する。
「…ッ、……もう、いい……」
「で、…も、っ……」
「出来ねぇんだろうが?ああ?」
「っ……」
切なそうにペレアスが眉を下げる。
また泣くかと思ったがそうではなく、ペレアスは腰を下ろしていたティバーンの方へすり寄ると、上脚を跨いで下腹部を密着させてきた。
「どういうつもりだ…?」
「こう…なら、多分…大丈夫だから…」
ペレアスは先程まで舐めしゃぶっていたティバーンのペニスに片手を添えると、その先端を解された後孔へ導く。
燃えるように熱いそれに息をのみながらも、柔らかい切先を襞の窪みに押し付ける。
「ぁ……ハァ……、ハァ……あ、……っあ」
「ペレアスお前、」
ペレアスが大きく息を吐くと、ようやく亀頭全体がグポッと音を立てるように中に収まった。
襲いくる圧迫感に息を何度も吐きながら、ゆっくりとティバーンの上で腰を沈めていく。
(正気か……?)
先程まで泣き震えていたペレアスが自らティバーンの上に跨がり、挿入していく姿を鷹王は信じられないといった面持ちで見ていたが、ペレアスの腸壁に埋まった息子が伝えてくる熱い滑りの心地良さこそが、今この時における真実だった。
「ハァァッ……ハァッ…ん、ンッ…ふ……ッ…フゥッ……ぅン……」
十分に慣らしたとはいえ指とは違う肉の厚みをじわじわと受け入れながら、やがて押されるとどうしても気持ちよくなってしまう所までティバーンのペニスが入り込む。
「ン、ンッ…!ンッ…!くゥン…!…ンッ…ンァッ」
前立腺のしこりがティバーンの雁首に押され、少し身じろぎするとその括れがコリコリと皮膚一枚隔てた箇所に当たり、声を上げずにはいられなくなる。
「ハァンッ…ハァッ、ンッ、アンッ…ぁ、当た、っ、て、ティバーンの、ッ!あたって…アアンッ」
その気持ち良さを享受するよう、ペレアスは下に沈めるだけだった腰を前後に揺すり始めた。
理性では止められなくなった下半身の疼きは動けば動くほど高まって、やがて本能に従ってティバーンの肉棒をぎゅうぎゅうと締め付けながら、電流が走るように鋭い快楽を伝える瘤に遠慮なく擦り付け続ける。
「当たってる…?ハッ、当ててる、の間違いじゃねえのか…?」
自らの淫らな行いを的確に指摘され、カッとペレアスの頬に朱が走る。
「ちが、…アア、ハァッ、ぁ…響く、ティバーンの声っ…ナカに、ひびいて、――ンッ…!」
「そら…どうした、もっと良いように動いてみろ」
「ンぃッ…、アアッ、アアァ…ゃあッ、ハァンッ、見な、で…ぁァッ!ぅ…後ろで、感じて、る僕、をっ、ぼくを、見ないでぇッ…」
「今更そんな事気にすんなッ…!そら、喘げ、堪んねえ声上げて、俺のチンポで存分によがって見せろ」
ティバーンが煽れば煽るほど、ペレアスは内なる欲望に突き上げられるような心地にたまらず眉を歪めた。
呼吸は乱れたきり、喘ぐ声を抑えることも出来ず、はしたなく脚を広げ――
「はうっ、はうぅっ…!アアンッ、―――アアッ―――アアァッ…!気持ち、ぃ…!ティバーンッ!ティバーンっ…!もっと、もっとぉ…」
とちゅ、とちゅ、とペレアスなりにティバーンの上で必死で腰を振っていたが、その言葉に焚き付けられたティバーンが、両手でがしりとペレアスの細腰を捕える。
「望み通り…根本まで…ッ、咥えろよ…!」
「―――アアアッ!アハァッ、ァア―――――!!」
グポン、とペレアスの腹内の奥のすぼまりがこじ開けられるように開き、先端が埋め込まれると同時にパンッと足の付け根が尻にぶつかる音が天幕に響く。
鷹王のモノが全て入っただけで、「ぁ゛、あ゛…!」と掠れた声を上げながらペレアスは絶頂していた。 …といっても射精はなく、ペレアスのペニスは絶えず白く濁ったカウパーを垂れ流しながら腹の内側を不規則に収縮するのを繰り返すだけで、それがまたティバーンのペニスを締め付ける。
ともすれば腰から持っていかれそうなぐらいのうねりの強さに、ティバーンの息が上がる。
「――――――!!!アッ!アッ!ゥア゛――――ァ゛ッ!!イッて、イッてぅ、アアアッ!またイクゥッ――――!!」
「ッア……ハァッ、オラッ…!…イけ!ッぐ…!!」
「ァア…熱いッ…あつぃ、熱いッ…―――ッ―――!――――ッッ!!ア゛アアァ――――――!!」
快感に仰け反るペレアスを幾度も激しく突き上げ、やがて満足したティバーンはペレアスの中からズルリと自身を引き抜くと、射精に至った。
濃厚な白濁液は爆発するように弾け飛び、ペレアスの下腹部から会陰の回りにかけて降り注ぐ。
ドロ…と白い筋が散ったところが脈打っているかのように熱い。
「あ……?…どう、して……」
「中に出すと面倒だろ…、明日も一日移動だ……襲撃があるとも知れん」
「っ……」
ティバーンの気遣いと、別に構わないのにという気持ちがせめぎあう中、ペレアスは性器に伝ったティバーンの精液を指先で掬いとる。
ねばつくそれを顔の間近で指に絡ませ、手の平に垂れてきたそれをぺろりと舐めた。
何ともいえない独特の味は、よく知ったものと大差なかった。
「おい、何してんだ」
「っ」
手首を取られ、ビク、と身を竦ませたペレアスの指が薄い布切れに包まれる。
「あのな…普通はそんなもん舐めねえよ」
「す、すみません……」
キスしづらいだろ、とぼやきながらもペレアスと自身の濡れた箇所を簡単に拭うと、寝台の端に落ちていた毛布を引っ張り上げて裸体に打ち掛け、包まる。
「……戻らないんですか」
「ああ、ここで寝る……そのつもりで来た。おまえの従者が俺を見て何と言うか知らんがな」
母親もか、と天幕の高い骨組みを見上げながら、ティバーンはペレアスの横で面倒くさそうに呟いていた。
広い胸元に埋まるようにしながら、ペレアスは鷹王に顔を向ける。
「構わない…僕はもう…、……最近は、放っておいてくれと言ってるし……」
「お、反抗期か」
「ティバーンっ……」
少し苛立ったような素振りはよく知る白鷺の王子と似通っていて、宥めるようにくしゃくしゃと巻き毛を散らす。
「……ああ、………眠いな、また朝になったら訊いてやるよ」
ふあ、と欠伸をして寝入ろうとするティバーンの腕の中、まだペレアスはもぞもぞと手足を擦り寄せていた。ティバーンの太股を掠めた足先がもう氷のように冷たくなっている。
「寒いか?」
バサリと広がった大きな翼がペレアスの身体を毛布ごと覆う。
「わっ………、あ」
幾重にも重なっている柔らかい羽毛は一枚一枚、ほんのりと温かさを伝えてくる。
鳥の羽根の独特な香りがする中、しかしそれに包まれるのは嫌ではなかった。
「どうだ……?これで」
「うん…」
安心したようにペレアスが瞳を臥せたのを確認して、鷹王の胸に寄せられた髪の隙間からちらりと覗く額の印にキスを落とすと、ティバーンも目を閉じた。
「……ん…」
ぼんやりと厚い壁のような物に頭が当たる感覚がするのを不思議に思い、ペレアスが薄目を開ける。
天幕には青白い朝日が透けていて、果たして、頭のすぐ隣にはやや長めに伸びっ放した黒髪の筋肉質な男が頬杖をついて横たわっていた。
「よう、お目覚めか」
「ティバ……」
前に抱かれた時は既に姿がなかったため、共に朝を迎えるに至ったことに驚きと、嬉しさが募る。
「よく眠っていたな、気分はどうだ」
「……うん…おはよう……」
まだシーツの上で身体を丸め眠そうに目を擦っているペレアスの様子を見て、ティバーンが薄く笑う。
水辺まで連れていってやろうかと尋ねると、ペレアスはこくりと首を縦に振った。
「痛くねえか、ここは」
「ん……平気です…」
「辛くなったら言え、誰かに担がせる」
天幕からほど近くに流れていた川のほとりで改めて下肢を洗い流し、顔を洗い――一通り済ませてから、互いに袖を通した。
「そろそろ戻るぞ、じゃあな」
「……白の王子の所へ?」
「ああ」
言って、分かりやすく寂しげな表情を浮かべるペレアスが何ともいじらしい。どちらとも手がかかる事この上ないが、そういう感情を向けられるのは嫌いではない。
「どうにもならなくなったら呼べよ、飛んできてやるからな」
「うん…ありがとう」
ティバーンと別れた後、戻った天幕の寝台に幾枚か落ちていた翼のうち、少し大きめのものが目に留まる。
手に取ったそれを、いつも肌身離さず持ち歩いている闇の魔道書の一ページに、ペレアスはそっと挟み込んだ。
END
初夜~~の様子は同人誌で描いたのでその続きのつもりで…
一回ぐらいじゃまだガクブルのペレアス(開発済)、可愛いじゃん(???
セックス解禁はイズカ撃破後からと思っているので、ここから女神の塔に登るまでに何回ぐらいできるのか…?!今後も手探りで書いていこうと思います