rumbulion sex
4部終章前に出来上がってるティバーン×ペレアスのH話
すっかり夜も更け隊の皆が寝静まった頃、今宵もペレアスはひそかに鷹王の天幕へ訪れていた。
よう、待ってたぜ——と中から気さくに声がかかると、安心したように外套を外し、鷹王の待つ大きな寝台へ歩を向ける。琥珀色の酒が入ったグラスを片手に下着一枚で開け広げに寝そべっているティバーンから、アルコールに混じって独特な甘い薫りがする。酒が入っているせいか、かなり機嫌が良さそうだ。
「それ…よく飲んでますね」
「ああ、ラム酒か?おまえもどうだ、一杯」
「え…」
飲みさしのそれを寝台の端に腰掛けたばかりのペレアスに強引に手渡し、悪戯っぽい顔で鷹王がにやつく。
「あ…はい…。じゃあ…」
断るのも悪いと思ったペレアスは、その手の中の酒に口をつけた。途端、砂糖を焦がしたような甘い薫りが鼻に抜ける…と同時に、焼けるような濃いアルコールの味が口一杯に広がった。
「っ!…うっ…!!」
その刺激の強さに驚きで目を白黒させながらも、口に入れた一杯を何とか吐き出さずに喉奥に流し込む。一応、成人している身としてペレアスにも矜持がある。初めてのラム酒の濃厚すぎる味に噎せそうになりながらも、何とか盃の残りを全て飲み干していった。
「お?一気にいったのか?」
「え……?」
「大丈夫かよ、結構キツい酒だぜ?」
普通はこうやってチビチビやるんだ、とサイドテーブルに置いてあった酒瓶に直接口をつけては離して飲む姿を見せるティバーンに、ペレアスは愕然とする。
「そう…なんですか?………っ……!?」
次の瞬間、かぁっと顔が火照るのを感じた。
「そら、もう真っ赤になってきたぜ?分かり易い奴だな」
「…ッ……ハァッ、ハァッ……」
先程まで分厚い外套を羽織って丁度いいくらいの肌寒さを感じていたというのに、急に暑くてたまらなくなってきた。熱により呼吸が速まったペレアスの肩を鷹王がぐいと引き寄せる。
「…ま、酒が回ってる内に楽しもうぜ、その為に来たんだろ?なあ?」
「ん……」
鷹王の言葉に否定をせず、僅かに首を縦に振ったペレアスを自らの真横に座らせる。薄い夜衣をするすると剥ぎ、互いにキスを交わそうとしたところで、ペレアスは鷹王の胸元にふらりと寄りかかった。
「あ……すみま、せ……。……お酒……慣れて、なくて……」
いつもの白い顔が上気して、肌色が全体的に赤っぽく染まっている。ハァハァと荒く息を吐く薄い唇から薔薇色の舌がちらちら見えて、ティバーンは口の端をニイ…と上げた。
「んっ……んん……」
がぶ、と噛みつくように酔いの回ったペレアスに口づける。ラム酒独特の甘い香りが残る舌は、メレンゲで出来た砂糖菓子のようにふわふわとして、鷹王のぶ厚い舌がそれを味わうように撫でていく。体温が上がったことでいつもより熱を持った口腔内を余さずしゃぶり、つるりとした小さな歯や上顎のざらざらしたところの舌触りを楽しんでいると、少し苦しそうにペレアスが身動いだ。水音に鼻にかかった細い悲鳴が混ざって、耳を擽る。
「ン、…ん…!ふぅ…ン…、ん……ちゅ…はぷ……」
ペレアスが逃げられないよう、鷹王はペレアスの頭をしっかりと腕に抱えていた。小さな口から零れた唾液がトロトロと首筋に流れ落ち、胸まで垂れて光っている。
「んぁあ……ァ、はぅ、…ちゅっ、クチュ…」
ティバーンにされるがまま、やがてペレアスの紫の瞳にじんわりと涙が張り、焦点をなくしたように虚空を見上げているのを確認して、漸くティバーンはペレアスの唇から離れた。
「ぷはっ、…ハァ、ハァっ、ハァ……—ァ、ハァ、ハァッ…」
酸素を求めて胸を大きく上下させながら呼吸するペレアスを、鷹王は慣れた手つきで愛撫し始める。浮き出た鎖骨、つんと尖った乳首、脇腹、へその窪み、腰——。敏感なところに触れると、荒い吐息の中に上ずった悲鳴が分かりやすく交ざるのが楽しくて仕方ない。
「ゃ…ハァッ、ハァッ…、はぅ、…ひっ…、ッ、はぅんッ…」
酒のせいかいつもより反応が緩い皮被りのペニスを手綱を取るように掴みつつ、俯せの姿勢になるよう細い体躯をシーツの上に転がした。ティバーンの手に包まれて引けた腰がそのままになることで、根本の玉も、会陰も、双丘の奥でヒクつくピンク色のアナルも良く見える体勢になっている事にペレアスは気付いていない。
「ひァ……!ゃ…、ァ………」
ティバーンの太い指が奥まった粘膜に触れて、ようやく寝台の上で尻をつき出すような格好にされているのに気づくペレアスだったが、酔いのせいもありうまく身体が動かなかった。露になった湿った蕾に、つぷ、と鷹王の指先が無遠慮に入ってくる。
「はぅぅっ……」
こちらもやはり温かい…というより熱い感触に、挿れればさぞ良い具合だろうという期待で笑みを浮かべずにはいられなかった。いつもより抵抗なく節くれ立った人差し指を入れられたため、続けてもう一本、中指を差し込む。ペレアスのナカはあっさりとそれを呑み込むと、熱くふわふわした肉壁が収縮して鷹王の指を奥に誘った。
「いつもより随分と柔らかいな?これも酒のせいか?」
「んぁ……ハッ、ぁ、あ……ハァ…」
「そうら、もう根本まで咥えてるぜ」
「—ッ——!ハァッ、…ハァッ——ァ、ぁン、…ァンッ…!」
ペレアスが好きなところを二本指で押し込むと、もうワントーンペレアスの悲鳴が高くなった。ふっくらとした前立腺のしこりを角度を変えながら指の腹でコリコリと刺激すれば、その度にビクッと腰が跳ねた。
「ァ——ァア……、ぁん、…ぁっ、ァンッ、ぁン…」
「まるで発情した猫みてぇに鳴くじゃねぇか?」
「ハァ、ぁ、……ァ……ァア………」
「いいぜ、もっと鳴けよ」
後ろに刺激を受けたことで前の先端からは透明なカウパーがだらだらと垂れ落ち、ティバーンのもう片方の手を濡らしていた。それを潤滑油にするようにペレアスの性器に塗りつけてしごき、クチュクチュと濡れた水音をわざと立ててやる。そこにペレアスの切羽詰まった高い喘ぎ声が加われば、酒で高揚した気分が更に高まるのを鷹王は感じていた。尻をいいように掻き回され、身体を震わせて声を上げるペレアスの被虐的な態度は、内に渦巻く(負)の気による欲望を満たすのに十分だった。
「ヒァァンッ……!ァア…!アッ…!!」
指を抜き去り、間髪入れずズブズブと鷹王の怒張が入ってきても、解れたそこは難なく硬い肉を迎え包み込んだ。やはり熱い。その内壁を遠慮なく奥へ奥へと突いて、パン、と大腿骨の出っ張りと薄い尻肉がぶつかる音が天幕に響く。
いつもならいきなり入れると苦しがるような深い所まで、今日は易々とたどり着けている。あと少し進めば、もう一段深いところに刺さる具合だ。
「どうだ?ここで良いか?それとも…」
「アッ、ァッ………はぅ……もっと…、もっと…おく、……おくぅ……」
「奥か、ハハッ…そうら、こじ開けてやるよ」
「オッ……!ぉ、う…ッ……ぉおゥ、ンッ…、!!」
ペレアスの望み通り結腸の入り口をカリ首でつつけば、いよいよ獣染みてきたペレアスの声が響いた。
「おい、無理してねぇか?ん?」
「ゥ……ンっ……らぃ、じょ…ぶ……、れす…」
「そうかよ」
「!!——ッ…!!」
ぐぼ、とついに鷹王の切っ先が結腸内へ進入した衝撃に、ペレアスは思わず顎を仰け反らせた。ドクン、ドクンと全身が脈打ち、それは即ち酒の回りを加速させてもいた。
「ぅア——ァア、…ア、ァッ…アッ……」
「すげえ…締め付けてきやがるぜ、てめえのここはよ…!俺のチンポ、旨そうにしゃぶってやがる」
狭い入り口の収縮が雁首に巻き付く気持ち良さを堪能するべく、あえてティバーンはペレアスの中で動かずにいた。
「ァッ、アッ、アッ、アッ!…もっと、…もっとぉ、もっと……」
「ガキが、急かすんじゃねえ」
むずがるように腰を揺らし、性急に動いて欲しがるペレアスを制すべく、パシッと鷹王がペレアスの尻を打つ。これでいつもなら静かになる——のだが、今日のペレアスの様子は違っていた。
「あぅ、……ぅぅ……、もっと……欲しい……ほし、……僕の、おまんこの、中ぁ…かき混ぜて…」
「何だと?」
「僕…、ぼく、の…まんこ……めちゃくちゃにして…っ、いっぱい…おまんこして…」
突然ペレアスから出た耳を疑うような煽り文句に、鷹王ははたと動きを止めた。
「…てめえ、自分が何言ってるのか分かってるのか?」
恥ずかしげもなく女性器の隠語を連呼しながら挿抜をねだる様子のペレアスの顔を、鷹王は怪訝に覗き込んだ。熱に浮かされたようにぼうっとした目付きで、その上品な形の口から出てくるのは情婦そのものの台詞。鷹王が望めばもっと低俗な事も口走るだろう。
「……それもあいつらの仕業か…?」
おそらく元老院の下衆共に仕込まれた誘い文句は、今までペレアスを組み敷いてきた者を悦ばせるのに事欠かなかっただろう。
「ァう……はや、くぅ……僕の…おまんこ、突いてぇ……イかせて…」
「止めろ、クソ……、安い女の真似事しやがって…」
「えっ……?」
「落ち着け、ペレアス」
ふぅ…と深い溜め息をつくと、興が逸れたティバーンはペレアスの中から自身をずるりと引き抜いた。
「あ……?どうして…っ…、…ごめんなさい、抜かないで…お願い…っ、お願いしますっ…おねがいっ……」
身体から離れたティバーンへ必死に懇願し始めるペレアスを尻目に、ティバーンは再びラム酒のボトルから一杯、酒を注いでぐいと飲み干した。
甘苦い香りに喉が焼けるように熱くなるのを感じてから、寝台に残されたペレアスへ向き直る。
皆が、デインの皆が…と未だ譫言のように呟きながら錯乱しているペレアスの頭をくしゃくしゃと撫で、背中を擦ってやる。
「大丈夫だ、何も起きやしねえ」
(酔うと思い出す…か…。そんな事、聞いてねえぜ?)
ふう…とまた一つ大きな溜め息が目の前の青い巻き髪を揺らす。
「僕……ぼくの、せい……?」
「……違えよ」
「なら……っ、」
ペレアスは嗚咽を漏らしながら、戻ってきた鷹王のペニスに手を伸ばした。少し萎えたとはいえ大きな肉棒を丁寧に両手で手繰り寄せると、いっさい戸惑う素振りなく、ぱくりと口に含む。
その染み付いた性行為の作法に突き動かされるペレアスの様に、憐憫と同じくらい加虐心が涌いてくるのはどうしようもない事実だった。
…ン、ン…、と苦しそうな声を漏らしながら必死に口淫するペレアスの頭をこのまま押さえ混んで、喉奥まで貫いて…それから……。
「んぷ……チュ、…ぁ…また…大きくなって……、…これ…欲しい……」
鷹王の負の感情を知ってか知らいでか、赤く膨らんだマラを舌の上に乗せ、物欲しそうにペレアスが上目遣いで訴えている。
「そんなにてめえのマンコにぶち込んで欲しいのかよ、ああ?淫乱なガキめ」
「ッ……ぷは…、は…ぃっ、…はい……、」
ペレアスは脈打つペニスを口から離すと、自ら長い脚をぱかりと割って、ティバーンからよく見えるように尻肉をかき分けて見せた。その中心にある濡れたアナルが切なそうにヒクついて、ペレアスの細っこい指にまるで生き物のように息づく濡れた襞を絡ませる。
「あなたのモノで、いっぱいおまんこ、してくらさい……」
その貞淑とは程遠い、しっかりと性調教された仕草に、ブツリと何かが切れるような気がした。
「チッ……、てめえの望み通り犯してやるがなあ、途中で逃げんなよ…?」
「うん……逃げない……逃げないから……僕……ぼく、は……逃げ…」
また何かを思い出したのか、ペレアスは同じ言葉をブツブツと繰り返し始める。まるで壊れた人形の様な無機質さを感じて、忌々しげに鷹王は再びシーツに転がったペレアスに覆い被さると、一気に穿った。
「ァアアッ!アァッ!!アッ…!!」
「そらっ、集中しろ——この俺が挿れてやってるんだぜ?
「ン——!ッ!しゅご、いっ…ぼくの、まんこっ…いっぱいっ…あつい、熱いよぉっ」
「ああ、てめえの中も、火傷しそうだぜッ…!」
左右に開かれたペレアスの細い脚がティバーンの背中に回り、より深く繋がろうと密着する。ティバーンは腰を浮かせたペレアスに馬乗りになりながら、脚の付け根を絶えず打ち付けた。ナカを擦る度に下腹部からぐぼぐぼと濡れた音が鳴り、大きく引き伸ばされた襞は時たま捲れ上がって真っ赤な肉を覗かせる。そこに、大きな翼が天幕を支えている支柱すれすれまで広がると、バサバサと羽音を立てながら更に圧をかけた。結腸の入り口を何度も何度もこじ開けて、閉じきらないうちに突いて——
「ハァッ、ハァッ、アゥゥッ…!!イク、イッちゃう、イッちゃうぅ…!!ぼくのおまんこ、イクぅぅっ——!!」
鷹王の抜き挿しのあまりの激しさに、ペレアスが叫んだ。ビクン、と顎を仰け反らせ、痙攣する肢体を逃すまいとティバーンがペレアスの両手首を押さえ付ける。
「逃げんなって言っただろうが!」
「ひっ…、ヒィッ…!……ア——ァ——!イッ、て、ぅ…!イッて…——ンァアア……ッ!!」
目の前でバチンと火花が散るような感覚に、頭が真っ白になっていく。膨れ上がった快楽の塊を陰嚢の裏から何度も押し潰されるようにされて、その度に力なく垂れたペニスの先からは薄く白濁した水のような精液が間欠泉のように溢れ、互いの腹や脚の付け根に飛び散った。鷹王に滅茶苦茶に突かれたナカは不規則に痙攣を繰り返し、それでも健気に肉を締め上げる。押さえつけたペレアスの手はティバーンの手の中で強く握り返され、手の甲や指の側面にガリリと爪を立てた。その反応が、今のティバーンには満足だった。
「ハァ……ハッ…俺もイくぜ…中に、出してやるから、なっ…!」
そう告げられて一段と激しくなった動きに、揺さぶられるままにペレアスは上ずった声を上げて、やがて奥の深いところで鷹王の怒張が熱く震えるのを感じた。
「ァッ、アッ、アッ、……、なか、ぁッ……ッ、……ッ———!」
熱い滾りを受け止めると同時に快楽の波が押し寄せ、痙攣する腰に合わせてうねるように内壁が締め上げられる。声にならない悲鳴を上げて達しているペレアスに、ティバーンはグウ、と唸りを上げ、ぐりぐりと腰を擦り付けながら最奥へ吐精を続けた。
「…ヒッ……ヒイッ…、…はふ……、ぁ、あ……あ———」
パタパタとシーツの上に水が滴る音が響く。
最後に腹を内側から強く押された衝撃で、ペレアスは失禁していた。温かい水が脚とシーツを濡らし、恍惚混じりのぼうっとした顔でチョロチョロと放尿するペレアスの様子を認めた鷹王は、その辺に落ちていた布切れをくしゃくしゃと丸めて下腹部にあてがってやる。
「チビるほど悦かったか…?気分は?」
鷹王の声掛けに、瞳を臥せたペレアスからは返事がない。水飲め、とサイドテーブルに備えてあった水差しをひっ掴むと、ペレアスの上体を引き上げてから飲み口を口に含ませる。自分で飲めないくらい意識が混濁している訳ではないらしく、唇を濡らした冷水に気付くと両手で水差しの取手を握り、ゴクゴクと喉を鳴らして飲み干していった。
「ハァ…、ハァ……ハァ……」
まだ息は整っていなかったが、真っ赤だった顔や身体の赤みは徐々に元の白さを取り戻しているように見えた。僅かでもアルコールが抜けたせいかと、ペレアスの股の間でぐっしょりと水を吸った布を取り払いながらティバーンは察した。ほんのりと甘いラムの香りがするのがその証拠か。
「危うく寝床を水浸しにされちまう所だったなあ?」
「…っ……、すみ…ませ……、ッ……あっ……!」
「何だ、まだ出んのか?隠すなよ」
ティバーンが無理矢理ペレアスの脚を開くと、空気が弾ける音と共に、先程自分が最奥に放った精液が真っ赤に充血した蕾からとろりと垂れ落ちた。んん…とペレアスが恥ずかしそうに顔を背ける。
「おう……中々いいザマだな」
たらたらと後ろの穴から垂れる白い液体を、捕えた獲物に対する自らの所有の印と見た鷹王は再び気を良くしたが、正気を取り戻しつつあるペレアスにとっては消え入りたくなるような格好を取らされているのに違いなかった。
「や…止め……、…見ないで……」
「今さら何言ってやがる、てめえが望んだんじゃなかったか?ああ?」
「そ、それは……」
反論も空しく躱された上、鷹王は無遠慮にペレアスのアナルに両指を沿え広げながら、泡立った白濁が呼吸するようにぱくぱくと開いた口から出てくるのをじっと凝視していた。
「出しといた方がお前も後が楽だろ?指で掻き出してやってもいいがな…、ああ、もう全部出たか?」
「っっ……!分から、な……、アッ…!そんな、広げないでっ……!」
ティバーンの指の下で集まった肉襞が輪状に膨らみ、プチュ…と残滓が弾け落ちる。きゅっ、きゅっと内にすぼまろうと収縮する襞の様子を、先程まで自身を咥えてあんなに拡がっていたにもかかわらず不思議なものだと感じながら鷹王は見詰めていた。そんなティバーンに対し、ペレアスは羞恥で顔を覆いながらもついに声を荒げた。
「やめ…もう、いい加減……!離してくれっ!」
「お?ああ、悪いな」
「………ッ……」
あっさりと両足から手を離し身を引いた鷹王の顔色を、ペレアスは慌てて伺った。ティバーンは何食わぬ顔でまた酒を注ぐと、盃片手にペレアスの横に腰掛ける。
「何だ」
「あ……いえ……その、……」
「言いたいことがあるなら今みたいにちゃんと言えよ、泣き喚いてるよりはよっぽど良い」
そう告げると、鷹王は戯れにペレアスの毛先を指先でくるくると巻き付けては離し、鼻を鳴らす。
「は…、はい……」
怒鳴ったことに対して気分を損ねた訳ではないらしく、一先ずペレアスは胸を撫で下ろした。ティバーンの広い胸元に寄り添うように身を寄せると、大きな手が肩に回される。
「ああ…そうだ、おまえ、もう酒飲むな」
「え……どうして?」
「どうして、だと?おまえは…あんなふざけたセリフを誰彼なしに言い放つつもりか?」
手の中の酒を呷りながら、まさか反論が返ってくると思わなかった鷹王はペレアスの真意を探るべく、紫の瞳を覗き込む。
「…台詞…?僕……、何か変なこと言いましたか……?」
「いや……、自覚がないならいい。」
鷹王の言葉に困ったように眉を下げたペレアスに、それ以上余計な詮索を巡らすのを止めた。この若いベオクの情緒が不安定になるのは良くある事——今回はたまたま酒が原因だった、それだけの話だ。
「えっと…、さっきは一気に飲んだせいで、すぐに酔ってしまったんだ…。でも、少しなら僕も大丈夫だから…」
じい、と手の中の盃に視線を感じたが、それでも今この場で再びそれを飲ませるつもりはなかった。
「飲むならまずは寝酒にして慣れろ、ミルクで割るのもいい、あとは…」
とりあえず思い付く限りの飲み方を説いていると、フフ、…とペレアスの笑みが頬を擽る。
「何がおかしい」
「いえ…案外、面倒見が良いんだなって……」
「ああ?もう一回はっ倒すぞ、この……」
抱いていた肩を引き寄せてから冗談交じりに押し倒すと、とさりとペレアスの頭が枕に沈む。
「ティバーンが良ければ、いくらでも…」
「ハッ、言ったな、上等じゃねえか」
じゃれ合うように二、三度、キスを交わす。
鷹王の舌に残るラムの甘い香りに目を細めながら、ペレアスは再び大きな体躯に身を委ねた。
END
ペレアスに鷹王が引くぐらいの隠語連呼させたくて、気付けばズブエロな飲酒SEXを書いていた。ラム酒は大抵40度あるお酒なので、ロック一気飲みは危険だぞ!止めよう!
元老院トラウマスイッチで情緒不安定になるペレアスはうちの仕様です。この中身の話もぼちぼち小説にしたためたい所ですが、そんな事も引っ括めてズコバコに抱いてくれるティバーンの雄みとパパみを感じてくれペレアス…!と寝言を呟いて終わっておきます。