運命の赤い糸
今日も彼の指には、見慣れた二本の指輪が光る。
「……俺も」
「ん?」
もし、自らも愛の印として彼に新たな指輪を送れば、彼はーーそれを嵌めてくれるのだろうか?
「……いえ、何でもありません」
「あるだろ、ん?またこれが気になるのか」
まるでこちらの思惑を見透かすように片眼鏡の奥の目が光る。左手を掲げてひらひらと薬指の金の輪を見せつける彼に、ひどく翻弄されている。
「そうだな……ここなら空いてるからな、許してやってもいいぜ?」
薄く微笑むと、彼は短い魔道の言葉を詠唱する。と、赤く煌めく糸が指先から伸びた。呆気にとられる俺の左手の小指にその先端を巻き付ければ、もう一端は自らの左小指に結びつける。
「どうだ?……今だけだからな」
「え、エッツェル殿っ……」
突然のことに指に巻かれた赤い糸と同じくらい赤くなった俺の顔を、まるで面白い生き物を見つけた悪戯っ子のように見つめ返す彼に、俺はーー心底惚れているのだと思う。
若いツバメを翻弄しつつ本心は……?なエッツェル……あざと愛っすね~~~クリス、がんばれ