エンディング
眩しい光の洪水を浴びたような気がした。その光を頼りに、樹は重く下がった瞼をようやく開くことに成功する。
見ればそこは、見覚えある美しい庭園……ブルームパレスだった。
ハッと上体を起こして自身を見るが、ちゃんと衣服を身に付け、特に何も身体に異常は感じない。
そして左右の地面には、同じくちゃんと着衣している斗馬と、弥代がまだ眠っていた。
「悪い、夢………だよな?」
頬を軽くつねったり、近くの草を抜いてみてその青々とした香りを嗅いでみる。ちゃんとリアルな世界に居るのだと実感出来る程度の感覚を得られたが、だが、さっきの夢もかなりリアルだった。それも、とんでもなく――
「イツキくん!」
「イツキ!」
「……ツバサ、エリー……!」
草原に見慣れた二人が駆け寄ってくる。
よ、良かったぁ~とつばさが言い出したので、樹は内心ぎくりとしつつ、一体どうしたのかと問いかけた。
「だってね、今日の帰りにイツキくんにTOPIC送ろうとしたら、ず――っと送信出来なくて……」
「アタシもよ、あと、トウマもだけど……それで、何かあったのかなってツバサと探してたわけ」
そうだったのか、と納得した樹は、やはり自分は斗馬と弥代と共にあのイドラスフィアへ行ったのだと確信する。だが、入り口があったはずのこの場所に、禍々しい黒い柱は見えなかった。あのイドラスフィアのことを知っているのは、あと……
「そうだ、チキ!」
「なぁに?お兄ちゃん」
突然背中側から覗き込んできたチキに、樹はわあっと驚く。
「えへへー、ドッキリ大成功!」
「ドッキリ……?」
「チキがさっきお兄ちゃんに送ったTOPIC、本当はお兄ちゃんたちと久しぶりに遊びたくて送ったんだよ」
無邪気なチキの言葉に、そう……だったのか?と言葉を詰まらせる。自分が学校の帰りに受け取ったチキからのTOPICは、スマホの電源を入れTOPICの履歴を見れば確かに届いていた。
「でもね、なんでお兄ちゃん、トウマお兄ちゃんとヤシロお兄ちゃんとここで寝てたの?お昼寝?」
「え?いや……」
だが腑に落ちないのは、その後の筋書きにズレがあるからだろうか。それとも本当に自分はここで事務所で偶然出会った斗馬と弥代を誘い、心地よい春日のもと昼寝をしていただけなのだろうか……。しかし……どこか腑に落ちない。
「なんだぁ……騒がしいなァと思ったらエリーかよ」
「揃いも揃ってかしましいことだ、俺はナバールと剣の稽古をする……ではな」
気付けば斗馬と弥代も目を覚まして目的のために立ち去っていく。
「クロム……」
「何だ?」
「………いや、呼んでみただけだよ」
何だそれは、と傍らで微笑む相棒もちゃんとそこに居る。
(やはり、夢だったのか――? そうだ、そうに決まってる――)
その後、樹達は仲間達と研鑽し高めたパフォーマによってメディウスを討ち果たし、芸能界においても多大な功績を残すことになるのだが……それはまた別の話。
樹はこの日を境に、行く手にどんな苦難が待ち受けようと乗り越える不屈の精神を手にしていた。斗馬と弥代もしかり。
さらには、社長の舞子に「三人とも、一皮も二皮も剥けたわね。何か秘密の特訓でもしたんじゃなぁい――?」と言わしめるほど艶のある演技が出来るようになったと大層喜ばれたが、それに関しては、樹だけがその真の理由を知っていた――。
TRUE END
エロトラップダンジョンは色んなパターンの作成ツールがあって、厳密にはHP等の概念やダメージ計算等の細かいルールがちゃんとあるんですが、私が計算苦手なので今回はあえてその要素を削って、代わりに古きに存在した指定ページへ飛ばして読み進めるゲームブック風に執筆しました。
地下十階は七ルートに分岐してますんで、初見で完全コンプされた方はすごいです。拍手。
変態すぎてドン引きされるような展開も多々あったかと思いますが、下層へ進む度に内容を過激にしていくと決めてトラップの内容を決めました。
三人のキャライメージを壊さないようにヒヤヒヤしながらも、最後まで愛をもって書けたかなと……。(いやこの展開は酷すぎるムリ!と思った方は、記憶を封印してくださいね!)
ちなみに出てくる全てのエロトラップシチュエーションはフリー素材ですので、皆様もどんどんエロトライドラ創作してください。(そして出来たらコッソリ見せてください…願
それでは、エロトラダンジョン探索お疲れ様でした!
2021.5 U-RIN